2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 雅雄 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10244138)
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Keywords | 発がん / レトロウイルス / 成人T細胞白血病 / ヒトT細胞白血病ウイルス / ウイルス発がん |
Research Abstract |
1)2型欠損型プロウイルスの解析: 5'側LTRを欠失する2型欠損型プロウイルスを有するATL12症例を解析し、その組み込み部位の解析を行った。12例の内、8例は組み込み前に欠損が起こっており、4例では組み込み後に欠損が起こっていることが示された。2型欠損型プロウイルスの全塩基配列を解析しウイルス遺伝子の構造を解析した結果、構造が保存されている遺伝子はHBZのみであった。この結果からHBZ遺伝子が発がん過程で重要な働きをしていることが示唆された。また2型欠損型プロウイルスの頻度をキャリアで測定すると約4%以下であり、ATLにおける頻度(27%)よりも有意に低かったことから2型欠損型プロウイルスが発がんの過程で選択されていることが明らかとなった。 2)HBZ遺伝子の細胞増殖作用の解析: HBZ RNAがE2F1の転写を亢進し増殖促進に作用していることを報告したが、HBZ RNAと結合する宿主タンパク質をThree hybrid法により単離した。現在、その作用機序を解析している。 3)HBZトランスジェニックマウスの解析: CD4特異的プロモーター・エンハンサーでHBZを発現させたトランスジェニックマウスでは、経過と共に皮膚炎の頻度が増している。皮膚ではCD4陽性Tリンパ球の浸潤が認められた。また肺胞中隔でもCD4陽性Tリンパ球の浸潤が確認された。HTLV-Iキャリアでも皮膚・肺胞中隔への感染細胞浸潤が報告されており、HBZがこのような浸潤傾向の原因遺伝子であることが示唆される。発がんへの影響をみるためにp53ノックアウトマウスとの交配実験を行い、現在、観察中である。
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