2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 雅雄 Kyoto University, ウイルス研究所, 教授 (10244138)
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Keywords | 発がん / レトロウイルス / 成人T細胞白血病 / ヒトT細胞白血病ウイルス / ウイルス発がん |
Research Abstract |
平成19年度の研究成果は以下の通りである。 1)HBZトランスジェニックマウスにおける発がん CD4特異的プロモーター・エンハンサーによりHBZ遺伝子を発現させたトランスジェニックマウスの長期観察によりコントロールと比較して有意差を持ってCD4陽性Tリンパ腫の発生を認めた。このことからHBZ遺伝子がin vivoで発がんに関わることが明らかとなった。またHBZトランスジェニックマウスではE2F1の発現が増加しており、これが発がんの一因と推測された。 2)HBZと相互作用する宿主タンパク質の同定 Yeast two-hybrid法によりHBZと相互作用する宿主因子を網羅的に単離し、31種類の遺伝子を同定した。この遺伝子には以前にHBZと結合することが報告されたCREB,JunBなどが含まれており、大部分の因子はbZIPドメインを有していた。これらの候補タンパク質とHBZとの結合を免疫沈降法により確認した。その結合部位を明らかにするためにdeletion mutantを作製している。またHBZ結合タンパク質の発がんにおける意義を明らかにするために解析を続けている。 3)HBZ遺伝子プロモーターの解析 HBZ遺伝子のプロモーターを解析し、spliced HBZの転写にはSp1が重要であり、unspliced HBZ遺伝子発現は上流に存在するTREにTaxが結合することにより増強されることを明らかにした。 4)HBZのNFKB経路に対する影響 HBZがNFKB古典経路に抑制的に作用することを明らかにした。これはHBZがp65に結合するだけでなく、p65をユビキチン化し分解することを示した。このp65の分解に関してはHBZがp65のE3 ubiquitin ligaseであるPDLIM2の発現を増加させるためであることを明らかにした。
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