2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 雅雄 Kyoto University, ウイルス研究所, 教授 (10244138)
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Keywords | 発がん / レトロウイルス / 成人T細胞白血病 / ヒトT細胞白血病ウイルス / ウイルス発がん |
Research Abstract |
ヒトT細胞白血病ウイルスI型(human T-cell leukemia virus type I : HTLV-I)は長い潜伏期間の後に約5%のキャリアに成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia : ATL)を引き起こす。ATL細胞で発現しているウイルス遺伝子はHTLV-1 bZIP factor (HBZ)のみであり、その発がん機構における重要性が示唆される。CD4遺伝子のプロモーター・エンハンサーによってHBZ遺伝子を発現するトランスジェニックマウスでTリンパ腫が高率に発生することからHBZが発がんを促進することが明らかになった。 1) HBZと結合する宿主因子の探索 HBZと結合する宿主タンパク質をyeast two-hybrid法によりスクリーニングしてJunB, ATF3, p300などを同定した。ATF3に関しては免疫沈降法により結合を確認すると共にATL細胞で高発現していることを見出した。ATF3のノックダウンによりATL細胞の増殖が抑制されることからATF3の高発現が増殖に関連していることが推測される。 2) HBZトランスジェニックマウスにおける発がん促進因子の解析 HBZトランスジェニックマウスをp53ノックアウトマウスと交配することにより発がんが促進されるかを検討したが、Tリンパ腫の発生頻度は変わらなかった。またtaxトランスジェニックマウスをHBZトランスジェニックマウスと交配したが、やはりTリンパ腫の発生頻度は増加しなかった。 3) HBZ遺伝子の発がん機序 Jurkat細胞にHBZを発現させ、ionomycinとPMAで刺激後の転写プロファイルを解析した。コントロールと比較し発現が増加あるいは減少している遺伝子群を同定した。これらの遺伝子でATL臨床検体の転写プロファイルで一致した動きを示している遺伝子を同定し、解析を行っている。
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