2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト動原体タンパク質Mis12複合体の異常とがん化
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17013047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小布施 力史 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (00273855)
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Keywords | がん / 染色体 / プロテオーム / 染色体分配 / タンパク質 / 動原体 / ヘテロクロマチン |
Research Abstract |
申請者は、最近ヒトの動原体タンパク質Mis12複合体を精製し、構成因子の同定に成功した。その中には低分化度の腫瘍で高発現していることが知られているHEC1/KNTC2およびAF15q14が含まれていた。本課題は、ヒトMis12複合体の構成因子の機能発現異常とがん細胞の形質の変化との共役についてアプローチすることを目的とした。 本年度は、Mis12結合因子として同定したHEC1およびAF15q14を含む11種類について、cDNAクローン、一過的な発現系、RNAiによる機能阻害系、抗体など、ほとんどの材料をそろえることができた。これに加えて、2ハイブリッド法のプラスミド構築をおこない、11種類のタンパク質の結合のパートナーを検証することにより、Mis12複合体の複合体の分子的な構築像が明らかになってきた。その結果、Mis12は基本的に、DC8,PMF1,c20orf172とともに複合体を形成することが明らかとなった。タイムラプスムービーによる解析により、これらの因子はMis12と全く同じ挙動を示し、特にM期に動原体に多くの分子が局在することが明らかとなった。また、これらの因子のRNAiによる機能阻害は、染色体分離に異常な表現形を引き起こすことも明らかになった。 Mis12複合体とHP1との相互作用は、HP1のクロモシャドウドメインを介していること、その相互作用はM期に弱くなることがわかった。これとは逆にCENP-CがM期特異的にMis12複合体と相互作用することが明らかとなった。これらのことは、何らかのM期特異的な修飾による機能複合体形成の制御の存在を示唆するものと思われる。 今年度の助成により、Mis12の構成因子はすべて動原体における機能因子であることが判明し、これらの発現異常が染色体の不安定性を引き起こすことが示唆された。また、Mis12構成因子の抗体、cDNAをそろえることができたので、今後、M期特異的なリン酸化酵素による複合体構築との関連や実際のがん組織での動態など、ヒトMis12複合体とがん細胞の形質の変化との共役についてより直接的なアプローチが可能な準備が整ったものと考える。
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[Journal Article] Comprehensive analysis of the Interphase Centromere Complex components enriched in the CENP-A chromatin of human cells2006
Author(s)
M.Ikenol, H.Izuta, N.Suzukil, H.Yang, T.Tomonaga, N.Nozaki, C.Obuse, Y.Kisu, NGoshima, N.Nomura, K.Yoda
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Journal Title
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[Journal Article] Two E3 ubiquitin ligases, SCF-Skp2 and DDB1-Cu14, target human Cdt1 for proteolysis2006
Author(s)
H.Nishitani1, N.Sugimoto, V.Roukos, Y.Nakanishi, M.Saijo, C.Obuse, T.Tsurimoto, K.I.Nakayama, K.Nakayama, M.Fujita, Z.Lygerou, T.Nishimoto
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Journal Title