2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム不安定性を示すマウスを利用した癌抑制遺伝子の単離
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17013049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 健之 京都大学, 医学研究科, 科学技術振興助教授 (30262075)
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Keywords | がん遺伝子 / レトロウイルス / 挿入変異 / 疾患モデルマウス |
Research Abstract |
がんの発症や悪性化の分子機構の解明には、原因遺伝子の効率的な同定と機能解析が重要となる。私達は、レトロウイルス挿入変異を用いて、マウスに発症した血液腫瘍から、発がんに重要な共通挿入部位の遺伝子を網羅的に同定してきた。しかし従来法では、ウイルス挿入で発現が活性化される癌遺伝子が主に単離され、癌抑制遺伝子の候補はほぼ発見できなかった。そこで、分裂組み換えを頻発する変異マウス(ブルーム(Blm)遺伝子変異マウス)を用いて挿入変異を行ない、両アリルへの変異導入効率を高めて、癌抑制遺伝子を優先的に単離する方法の構築を試みた。 まず、Blm変異マウスは、挿入変異によって、野生型マウスより早期に血液腫瘍を発症することがわかった。腫瘍細胞ゲノムのウイルス挿入部位の解析から、新たに癌関連遺伝子を多数同定し、特にウイルスが翻訳領域の内部に挿入している遺伝子(癌抑制遺伝子の候補)を十数個単離することに成功した。この中には、RB関連遺伝子、CDK阻害因子、ファンコニ貧血原因遺伝子など既知の有力な候補が含まれており、目的の実験系の樹立が確認された。現在、新しく同定された候補の機能解析を進行しており、これまでにJumonji(JmjC)ドメインという共通構造をもつBCIS1、BCIS2遺伝子産物がDNA修復に関与する可能性を明らかにした。さらに、BCIS1が癌遺伝子産物BCL6の複合体に含まれ、その機能を制御することを示唆する結果も得ている。BCIS1はヒストン脱メチル化酵素の活性を持つことが最近報告されており、DNA修復や転写制御とクロマチン構造変化の関係に注目している。また、マウスの6番と8番染色体にマップされる2つの新規候補遺伝子(BCIS3、BCIS4)については、DNA二重鎖切断修復に関与する可能性を見いだしており、あわせて解析中である。
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