2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013060
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
真木 寿治 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (20199649)
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Keywords | 突然変異 / 酸素ラジカル / 活性酸素 / DNA複製 / DNA修復 |
Research Abstract |
これまでの我々の研究から、酸素呼吸を行う大腸菌での自然突然変異の重要な原因として酸素ラジカルによる自然DNA損傷が浮かび上がってきた。しかしながら、そのような自然DNA損傷がどのようにして変異の発生につながるのかについてはほとんど不明である。そこで、紫外線や化学変異原による変異の誘発に関与する損傷乗り越え型DNAポリメラーゼ(TLS Pol)が自然突然変異に関与しているかどうかを、大腸菌の3種のTLS Polの単独、二重、および三重欠損株を作成して自然突然変異の発生頻度および発生パターンを精査した。その結果、塩基置換についてはPol IVのみが関与し、大腸菌の自然塩基置換変異の約50%はPol IVに依存することを明らかにした。また、様々な種類のDNA損傷の修復に関与するヌクレオチド除去修復機構(NER)の欠損により、自然突然変異が上昇するかどうかを調べたところ、予想に反して、NER欠損株では塩基置換の変異頻度が野生株の1/3に低下することが見いだされた。このことは、ヌクレオチド除去修復機構そのものが自然突然変異の発生に積極的な役割を果たしていることを意味する。NERの過剰発現株の解析結果からも、自然突然変異の新しい発生経路としてNER依存性経路の重要性が明らかとなった。また、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)欠損株で生じる変異の解析から、未知の酸化的DNA損傷に起因する突然変異の発生にもNERが関与することも示唆された。
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