2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013060
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
真木 寿治 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 教授 (20199649)
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Keywords | 突然変異 / 酸素ラジカル / 活性酸素 / DNA複製 / DNA修復 |
Research Abstract |
これまでの我々の研究から、酸素呼吸を行う大腸菌での自然突然変異の重要な原因として酸素ラジカルによる自然DNA損傷が浮かび上がってきた。しかしながら、そのような自然DNA損傷がどのようにして変異の発生につながるのかについてはほとんど不明である。そこで、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)欠損株で生じる変異の誘発機構に関して、詳細な遺伝学的解析を行った。これまでに、グリコールアルデヒドがスーパーオキシドにより酸化されて生じるグリオキサールの発生がSOD欠損株での変異誘発に関与する結果を示唆する結果を得ていた。今回、この変異誘発過程にはヌクレオチド除去修復は関与しないが、TLSポリメラーゼが関与することを発見した。さらに、グリオキサールの発生が実際に細胞内で変異を誘発していることを示すデータを得た。また、昨年度に発見したヌクレオチド除去修復機構(NER)に依存する変異誘発経路の解析を進め、その過程に転写共役因子MfdおよびDNAポリメラーゼIが関与することを明らかにした。興味深いことに、分裂を停止した細胞においてもNERの過剰発現は突然変異を誘発することが見いだされ、非増殖細胞における自然突然変異の発生が可能であるごとが示された。発がんの原因となる自然突然変異の発生プロセスは増殖細胞に注目して研究が行われてきたが、今回の発見は非増殖細胞での変異誘発の重要性を示唆するものと注目される。
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