2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013060
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
真木 寿治 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 教授 (20199649)
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Keywords | 突然変異 / 酸素ラジカル / 活性酸素 / DNA複製 / DNA修復 |
Research Abstract |
これまでの我々の研究から、酸素呼吸を行う大腸菌での自然突然変異の重要な原因として酸素ラジカルによる自然DNA損傷が浮かび上がってきた。しかしながら、そのような自然DNA損傷がどのようにして変異の発生につながるのかについてはほとんど不明である。そこで、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)欠損株で生じる変異の誘発機構に関して、詳細な遺伝学的解析を行った。これまでに、グリコールアルデヒドがスーパーオキシドにより酸化されて生じるグリオキサールの発生がSOD欠損株での変異誘発に関与する結果を示唆する結果を得ていた。今回、グリオキサールによる細胞内での変異誘発を、グリコールアルデヒドを代謝するアルドラーゼとグリオキサールを分解するグリオキシレースが強く誘発していることが分かった。また、昨年度、SOD欠損株で生じる変異にTLSポリメラーゼが関与することを発見していたが、今回、Pol IVが逆に変異の誘発を抑制していることを示唆する結果を得た。また、2年前に発見したヌクレオチド除去修復機構(NER)に依存する変異誘発経路の解析を進め、特に、分裂を停止した細胞においてNERの過剰発現に依存して発生する突然変異には、Mfdと鎖切断酵素に依存する経路と、両方に依存しない経路が存在することを見いだした。発がんの原因となる自然突然変異の発生プロセスは増殖細胞に注目して研究が行われてきたが、今回の発見は非増殖細胞での変異誘発の重要性をさらに示唆するものと注目される。
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