2007 Fiscal Year Annual Research Report
胃がん発症関連遺伝子のゲノム的解析と分子病態の解明
Project/Area Number |
17013066
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 准教授 (60274528)
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Keywords | 胃がん / STCH / 細胞死 / 発がん / SNP / LON / ゲノム構造異常 |
Research Abstract |
STCHの機能解析:発がんには複数の遺伝要因と環境要因の多段階にわたる相互作用が関与する。我々はこれまでに、家系と集団を用いた連鎖・相関によって、HSP70ファミリーに属するSTCH遺伝子を、発症感受性候補遺伝子として、統計遺伝学的に同定した。STCHが細胞死に関連する分子であることを細胞レベルで明らかにしたが、その個体レベルでの機能および発がんとの関わりを解析するためにSTCH欠損マウスを樹立した。STCHホモ欠損マウスは、胎生約15日に死亡することが判明し、ヘテロ欠損マウスは、約1年め自然観察においては、成長または死亡率などについて、野生型マウスと差を読めなかった。今後、MNU投与における発がん感受性、および欠損マウスより得た細胞の細胞学的実験により、STCH遺伝子の機能解析を進める。 胃がんにおけるゲノム構造変化の解析:高密度SNPアレイによって、より解像度の高いゲノム構造変化を捉えることが可能となった。新規がん抑制遺伝子を最終的に同定する目的で、25組のTNペアDNAを対象として、イルミナ300KSNPチップを用いたゲノム構造異常解析を進めた。LOHや染色体コピー数の変化は、全染色体領域で認められた。染色体短腕または長腕全体に及ぶ染色体コピー数の変化は7p,8p,8qで高頻度に認められた(>25%)。限局的な狭い染色体領域のLOHやコピー数の変化は、3p14.2,4p16.1,4q22,6q26,9p24.1-9p23,16q23.2,20p12.1に高頻度に認められ、これらはcommon fragilesiteとして知られるFRA3B,FRA4,FRA6E,FRA16Dを含んでいた。一方、これまでLOHが知られていない複数の遺伝子を検出した。今後、今回同定された幾つかの新規がん抑制遺伝子候補と発がんとの関連を検討する。
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