2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013068
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
續 輝久 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (40155429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中津 可道 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (00207820)
関口 睦夫 九州大学, 大学院医学研究院, 名誉教授 (00037342)
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Keywords | 遺伝子 / 核酸 / 癌 / ゲノム / 動物 / 活性酸素 / 突然変異 / 消化管 |
Research Abstract |
1. Mutyh遺伝子欠損マウスでの自然突然変異の解析で、G : C→T : A型トランスバージョン変異が有意に上昇していたことを踏まえ、酸化剤である臭素酸カリウムを飲水投与したマウス小腸における突然変異の解析を行った。その結果、対象群と比較して、酸化ストレスを誘発したMutyh遺伝子欠損マウスでG : C→T : A型変異の有意な増加を認めた。 2.これまでの自然発生腫瘍の解析で、Mutyh遺伝子欠損マウスでは、小腸・大腸における腺腫・腺癌の発生頻度が野生型マウスに比べて有意に上昇していることを認めている。今回、生後4週齢のマウスに臭素酸カリウムを20週間連続飲水投与して消化管での腫瘍の発生を調べた。その結果、Mutyh遺伝子欠損マウスの十二指腸・空腸で多数の上皮性腫瘍の発生を認めた。 3.酸化ストレス誘発で生じた腫瘍組織におけるターゲット遺伝子を検索する目的で、代表的な候補遺伝子における変異の予備的な解析を行ったところ、Apc遺伝子にG : C→T : A型変異が生じているものが含まれていた。 以上、自然及び酸化ストレス誘発突然変異の解析並びに発がん解析の結果、Mutyhは内因性、外因性の酸化ストレスにより生じた8-oxoG等の酸化的DNA損傷に起因する変異並びに発がんを抑制していると考えられる。最近、劣性の家族性大腸腺腫症患者でMUTYH遺伝子に変異が見出され、腫瘍組織のAPC遺伝子にG : C→T : A変異が検出された事例が報告されている。このことと、我々が得ている消化管における自然発がん並びに小腸でのG:C→T:A型変異の上昇等の観察結果は、Mutyh遺伝子欠損マウスが消化管における腫瘍発生の機序を解明するのに有用なモデル系であることを示している。現在進めている研究を展開することで、Mutyh遺伝子欠損マウスを用いた薬剤投与による酸化ストレス誘発発がんの系を確立できる可能性が示された。
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Research Products
(7 results)