2005 Fiscal Year Annual Research Report
RNAプライマーゼGANPの発癌における機能の研究
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17013069
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
阪口 薫雄 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (70192086)
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Keywords | 胚中心 / B細胞 / ホジキン病 / 悪性黒色腫 / プライマーゼ / 転移 / 病理診断 / がん抑制分子 |
Research Abstract |
胚中心B細胞で選択的に発現が上昇するRNAプライマーゼGANPがリンパ腫発症と関連することを確認した。血液系、リンパ系の腫瘍でGANP分子の発現が上昇していることから、GANP遺伝子の過剰発現マウスにおけるリンパ腫発症が考えられた。60週以上の経過観察で約35%の頻度でnon-B/non-T細胞リンパ腫の発症を見た(論文発表; Cancer Research)。この腫瘍細胞がヒトのホジキン病の腫瘍細胞と近似していることからホジキン病の原因遺伝子の一つであることが確認された。様々な臨床検体における腫瘍化との関連性を比較したところ、悪性黒色種での発現と腫瘍の悪性度とが相関することが明らかになった。ことにRNAプライマーゼ活性の指標となるSer502のアミノ酸のリン酸化状態とその悪性度とが密接に関連していることが示され、この検出によって悪性黒色腫の転移性、悪性転換、増悪因子の確定など多くの応用が可能であると考えられた。病理診断上の悪性指標としてKi67のマーカーの発現と比較してもより優れた悪性・転移性の指標になるものと期待される(論文発表; J. Dermatol. Research)。GANP遺伝子の欠損マウスにおける発ガンの状況を観察し、GANP分子の欠損はやはり発ガンを来すことが観察された。C57BL系のマウスの自然発ガンの頻度が0.5%程度以下であることから考えると非常に高くおおよそ35%の頻度で腫瘍が発症することを観察している。以上のことからGANP分子は新しいタイプのがん抑制分子であると考えられ、現在その分子機構についての解析を進めている。
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