2006 Fiscal Year Annual Research Report
RNAプライマーゼGANPの発癌における機能の研究
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17013069
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
阪口 薫雄 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (70192086)
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Keywords | 胚中心 / 細胞 / ホジキン病 / 乳癌 / プライマーゼ / 転移 / 病理診断 / がん抑制分子 |
Research Abstract |
マウスモデルにおいてGANP発現の異常が乳癌自然発症と関連する事を見いだしているので、マウス及びヒト乳癌細胞における腫瘍発症との関連性を確認した。マウスモデルにおける観察がヒトの腫瘍症例においても観察されるのかを並行して解析し、その臨床的意義を高めた。ヘテロ欠損マウスの経過観察とその欠損アレル遺伝子、及び転写RNAについて解析した。ゲノム遺伝子には変異や欠損は存在しなかった。ヒトGANPは6kbのGANPと2.4kbのRNAスプライスバリアントであるMCM3APの2種類の転写産物が存在することが報告されている。この両者を正確に測定し、両方のタンパク発現の違いが腫瘍化と関連するのかどうかについて解析した。ヒト乳癌症例におけるGANP遺伝子発現をreal-time RT-PCRによって解析したところ、GANP発現低下が乳癌の悪性度と相関することを見いだした。ERやPgRの発現低下している症例、転移症例などの悪性度の高い症例では著しくGANPの発現が低下していたが、GANPとそのバリアントであるMCM3APの発現はほぼ相関していた。ヒト乳癌症例ではGANP発現低下と乳癌発症、又は悪性度と高い相関を示す事を示したが、MCM3APとの比率には関連しなかった。そこで、乳癌細胞での発現低下とGANP転写の構造異常について、マウス乳癌細胞株(本実験で樹立)とヒト乳癌細胞株において全長GANPをシークエンス解析した。乳癌細胞では遺伝子の転写異常が存在する事を見いだした。特にGANP遺伝子の部分欠損するmRNAが見いだされ、その領域は特定のエクソン領域に集中し、遺伝子異常のホットスポットが存在する事を見いだした。同様の欠損は正常細胞では見られず、乳癌細胞に見られる事から、発癌やその悪性転化の際に何らかの原因が関与してGANPの転写異常を引き起こし、その結果腫瘍化の進行を促している事が示唆された。
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