2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013070
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐谷 秀行 Keio University, 医学部, 教授 (80264282)
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Keywords | 細胞・組織 / 病理学 / シグナル伝達 / 癌 / 蛋白質 |
Research Abstract |
細胞分裂は染色体と細胞質内の要素を正確に二分する重要なステップである。したがって細胞分裂をひかえたG2期からM期進行の調節機構破綻は細胞の形質にドラスティックな変化を引き起こし、ゲノの不安定化を誘発する。本研究はG2/M期における細胞周期進行制御の分子機構の解析とその破綻による腫瘍化メカニズムを明確にし、最終的にはがん治療のための標的を見出すことを目的として実施した。平成19年の研究成果をいかに述べる。 (1)分裂期キナーゼAurora-Aの発現上昇が個体において腫瘍を形成するのに十であるか否かを検討する目的で、その過剰発現を乳腺細胞において誘導できるトランスジェニックマウスを作成した。その結果、Aurora A単独の過剰発現では腫瘍形成に至るマウスは得られなかった。しかしp53を欠失したマウスと交配たところ腫瘍性病変が出現した。しかし、これらの腫瘍は悪性には至らず、p53を欠失したことによってDNA損傷が増加し、p16が発現するために老化が誘導されたためと考えられる。(2)癌細胞がタキソールなど微小管作動薬によって特異的に死滅する場合に、細胞内で活性酸素が異常に上昇することが分かった。活性酸素が上昇することでのセンサーであるAsklの活性化、さらにはその下流のp38MAPキナーゼの活性化によって細胞死が誘導されることが明らかになった。(3)分裂期のタンパク質分解を制御するCdh1分子の機能解析を目的としたCdhl不活化マウス及ノックインマウスの作成を終了した。Cdhlホモ不活化マウスは胎生致死であったが、その原因は胎盤の巨細胞形成全にあることが分かり、胎盤のみを正常化させることによってマウスが生まれてきた。また、このマウス作成によってCdhl活性が生理的なendoduplication(多倍体化)に関与することが明らかになった。
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