2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013071
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中尾 光善 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (00217663)
|
Keywords | がん / ゲノム / 遺伝子 / 発現制御 / DNAメチル化 / メチル化DNA結合タンパク質 / クロマチン |
Research Abstract |
1.メチル化DNA結合タンパク質の複合体と癌関連性の解析 メチル化DNA結合タンパク質MBD1は、癌抑制遺伝子や組織特異的な遺伝子の転写抑制、ヘテロクロマチン形成、ゲノム安定性に関わっている。その転写抑制ドメインに結合するMCAF1が、メチル化酵素SETDB1とともに、ヒストンH3の9番目リジンのトリメチル化を行うこと、メチル化DNA領域でMBD1-MCAF1-SETDB1複合体がヘテロクロマチン形成を行うことが判明している。MBD1によるMCAF1のリクルート機構について、細胞核内でSUMO修飾されたMBD1がMCAF1と高い結合性を有することを報告した。さらに、ピストンH3の27番目リジンのメチル化に関わるポリコーム複合体とMBD1が協働することを見出し、DNAメチル化とポリコーム複合体が癌細胞のHoxA遺伝子群の発現異常に関わる分子機構を初めて明らかにした。 2.クロマチンインスレーター複合体の癌関連性の解析 ゲノム上のドメイン間の境界配列(インスレーター)は、インスレーター結合タンパク質CTCFで認識されている。CTCFがクロマチンリモデリング因子CHD8と協働して、インスレーター機能(とくにエンハンサー遮断効果)を果たすことを報告した。CTCF-CHD8複合体が、癌細胞でインプリンティング喪失現象が見られるH19-IGF2領域の発現制御、BRCA1およびc-mycの癌関連遺伝子の発現制御に関わることを明らかにした。 3.翻訳後修飾による癌関連タンパク質の機能制御の解析 マウスES細胞の未分化維持、消化管の発生と癌化に関わる転写因子Sox2が、SUMOによる修飾を受けること、SUMO化Sox2は標的であるFgf4遺伝子プロモーターの結合モチーフに結合できないことを報告した。また、細胞内タンパク質のSUMO修飾部位を同定する新しい方法(in situ SUMO化反応)を構築して、SUMOE3酵素であるRanBP2が核膜(核膜孔)およびPMLボディーの形成に必要であることを報告した。
|
Research Products
(10 results)