2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013071
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中尾 光善 Kumamoto University, 発生医学研究センター, 教授 (00217663)
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Keywords | がん / ゲノム / 遺伝子 / 発現制御 / DNAメチル化 / クロマチン |
Research Abstract |
1. MCAF1-Sp1複合体によるテロメラーゼ遣伝子発現の解析 メチル化DNA結合タンパク質MBD1に相互作用する因子として同定したMCAF1について解析し、癌細胞においてMCAF1がSp1依存的なテロメラーゼ遺伝子発現の維持に関与することを見出した。また、MCAF1は種々の癌組織の70%以上で過剰発現しており、MCAF1がテロメラーゼ活性の発現を維持することは、癌細胞に共通したメカニズムのひとつであることを示唆した。 2. クロマチンインスレーター複合体の癌関連性の解析 ゲノム上のドメイン間の境界配列(インスレーター)は、インスレーター結合タンパク質CTCFで認識されている。全ゲノムのChip-on-chip解析を契機として、CTCFが染色体凝縮に働くコヘーシン複合体と協働して、インスレーター機能を果たすことを見出した。CTCFが癌抑制タンパク質としで位置づけられることから、癌病態の基本的なメカニズムに関わると推測される。癌発症に関わる高脂血症の病因であるアポリポタンパク質遺伝子クラスターを解析し、CTCFとコへーシン複合体によるクロマチンループ形成と発現制御について報告した。 3. 構造的クロマチン因子HMGA2による上皮間葉転換の解析 high mobilfty group(HMG)A2タンパク質が、膵癌細胞における上皮間葉転換に関わることを見出した。ヒト膵癌細胞株において、RNA干渉法による田GA2のノックダウンによって、細胞増殖能は低下し、E-カドヘリン発現上昇を伴う高接着性の上皮様に変化した。膵癌組織でHMGA2は高発現しており、E-カドヘリンの発現は逆相関していた。田GA2はE-カドヘリンの転写抑制因子SNAILのプロモーターに作用し、その発現を促進することが判明した。膵癌の変異型RAS経路の下流として、HMGA2が増殖能とEMTの維持に必要であることが示唆された。
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Research Products
(17 results)