2006 Fiscal Year Annual Research Report
がんの発生と進展におけるDNAメチル化およびヒストン修飾異常の役割
Project/Area Number |
17013073
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
豊田 実 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70270676)
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Keywords | エピジェネティクス / クロマチン / DNAメチル化 / ヒストン / 消化器癌 |
Research Abstract |
DNAメチル化やヒストン修飾異常などのエピジェネティックな変化はがん抑制遺伝子不活化の機構として重要であるが、メチル化により不活化される遺伝子の発がんにおける役割や、メチル化が起こるメカニズムに関しては不明な点が多い。本研究ではメチル化により不活化される遺伝子の網羅的解析により、がんの発生と進展におけるエピジェネティックな異常の役割を明らかにすることを目的とする。本年度は、がんのシグナル伝達異常における異常メチル化の役割、ヒストン修飾異常による遺伝子サイレンシングの分子機構にっいて検討した。WNTの制御遺伝子であるDKKの異常メチル化について解析し、DKK1およびDKK2遺伝子が大腸癌および胃癌において高頻度に不活化されており、消化管腫瘍の発生に重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、PR domainを有する遺伝子ファミリー、PRDM1-16のエピジェネティックな異常について解析し、PRDM5遺伝子のサイレンシングにはDNAメチル化依存性のサイレンシング以外に、ヒストンメチル化酵素EZH2による、ヒストンH3リジン27のトリメチル化が関与する場合があることを明らかにした。また、乳癌において、PRDM14遺伝子が遺伝子増幅により発現が充進し、がん化に関与することを明らかにした。異常メチル化している遺伝子のゲノム配列をin silicoで解析し、p53の標的遺伝子であるC10orf58やDFNA5がDNAメチル化により不活化されていること、メチル化阻害剤により、エピジェネティックに不活化されたp53標的遺伝子の発現を回復出来ることを示した。
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