2006 Fiscal Year Annual Research Report
疾患モデル動物を用いた多段階発がん研究:腎発がんの遺伝情報システム
Project/Area Number |
17013076
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
樋野 興夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (90127910)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敏之 順天堂大学, 医学部, 講師 (40260070)
梶野 一徳 順天堂大学, 医学部, 助手 (80260066)
百瀬 修二 順天堂大学, 医学部, 助手 (70360344)
|
Keywords | 遺伝性がん / 癌化遺伝子 / 多段階発がん / 分子標的治療 / Niban遺伝子 / TSC遺伝子 / Bhd遺伝子 / ERC遺伝子 |
Research Abstract |
個体レベルで、リファインされたユニークな疾患モデル(特に腎がんモデル)を用いて、「遺伝情報システム異常と発がん」を発がんの起始遺伝子を起点とした遺伝子ネットワークの異常ととらえ(発がんの連盟的首位性の分子機構の解明)、その特異点の分子を解析し、ヒトがんの治療に資する。 腎発がん過程に高発現してくる、新規NibanおよびErc遺伝子を発見し、そのknockoutマウスの作製にも成功し、個体レベルでも機能解析を進めた。さらに、新規の腎がん抑制遺伝子(Bhd)の機能解析を進めた。 Niban産物の機能はPERK/eIF2aとmT0R/S6K1/4E-BP1という異なる二つの翻訳制御系に関わり、全体として翻訳を促進する方向に機能することが示唆された。すなわち、NibanはERストレスによって発現される一方で、ストレスによる蛋白翻訳抑制に桔抗する、ある種の負のフィードバック機構の一員として働い、ている可能性が考えられた。また、HeLa細胞ではNibanの発現抑制により、細胞死が促進されることを見出している。これらの結果から、Nibanはストレス環境下において細胞の生存に重要な役割を担っている可能性が示唆された。 Erc遺伝子産物は血中に分泌されることが明らかとなり、ELISA測定系を開発した。腫瘍マーカーとしてEker ratの血液診断が可能となった。ERC遺伝子産物は、正常では、中皮細胞で発現しており、ヒト中皮腫の腫瘍マーカーとして可能性を示した。 Bhd産物は出芽酵母のLst7産物に相同性を示すものの、これまでのところ機能の詳細は不明のままであった。今回我々は、Nihonラット由来Bhd欠損腎癌細胞株へのBhd発現系導入、およびsiRNAによるBHD抑制を利用し、Bhd産物の機能解析を進めた。また、我々は上記の培養細胞を利用して、Bhdに結合する分子の検索も進めた。
|