2008 Fiscal Year Annual Research Report
疾患モデル動物を用いた多段階発がん研究 : 腎発がんの遺伝情報システム
Project/Area Number |
17013076
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
樋野 興夫 Juntendo University, 医学部, 教授 (90127910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敏之 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40260070)
梶野 一徳 順天堂大学, 医学部, 助教 (80260066)
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Keywords | 遺伝性がん / 癌化遺伝子 / 多段階発がん / 分子標的治療 / Niban遺伝子 / TSC遺伝子 / Bhd遺伝子 / ERC遺伝子 |
Research Abstract |
これまで、mTORC1抑制能が損なわれるヒトG1556S型変異(GSM)を持つTsc2発現系を導入したトランスジェニック(Tg)・Ekerラットの作製を行い、ENU誘発腎癌が抑制されることを報告していた。本年度、長期飼育を継続し、ENU誘発系の場合と同様に一部に微少な腫瘍発生が認められるものの、自然発生の腎発癌も抑制されることが確認された。これらの結果からGSM-Tsc2産物(tuberin)に残存する活性の腫瘍抑制への関与が改めて示唆される。GSM-tuberinの活性を調べる培養細胞系の実験系として、GSM-tuberinを安定的に発現するTsc2欠損マウス腎腫瘍細胞株を作製した。ヌードマウスへの皮下移植実験においてGSM-tuberin発現細胞も野生型tuberin発現細胞と共に、造腫瘍能を抑制する傾向を示した。これらの細胞群の表現型を引き続き分析している。一方、昨年度tuberinの発現抑制によりBhd遺伝子産物(Flcn)のリン酸化が促進されることを見出していたが、ノックダウン実験やin vitroキナーゼ・アッセイ等により、そのリン酸化はmTORC1の下流においてmTORやS6K1以外のキナーゼによって司られていると予想された。これまで同定したリン酸化部位(S62やS302)に対する抗リン酸化抗体を作製し分析したところ、tuberin抑制によるFlcnリン酸化にはラバマイシン非感受性のリン酸化が一部関与していること、S62のリン酸化の亢進は血清飢餓条件で顕著になり、それぞれのリン酸化部位は異なる挙動を示すことなどがわかった。Flcnはtuberinの下流において、mTORC1依存性・非依存性の複雑な制御を受けていることが予想される。GSM-tuberinに残存する活性とラバマイシン非依存性のFlcnリン酸化の関連を含め、今後研究を進める予定である。
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Research Products
(3 results)