2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013077
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
黒田 雅彦 東京医科大学, 医学部, 助教授 (80251304)
|
Keywords | 染色体テリトリー / hWAPL / 染色体不安定性 / ダイオキシン |
Research Abstract |
細胞機能の発現の主要な源泉である「核」には、遺伝子の本体であるDNAが高度に折りたたまれた染色体として存在する.近年、この染色体が細胞間期において特定の領域に存在するという染色体テリトリーの存在が明らかになってきた.申請者らは最近、粘液型脂肪肉腫の染色体転座が脂肪分化における染色体テリトリーの変動と密接な関係がある事を示した(J Cell Sci., 117:5897-5903, 2004).また、申請者らが単離した子宮頸癌の新規癌遺伝子hWAPL (Cancer Res., 64:3545-3549, 2004 ; Cancer Lett., 221:21-28, 2005 ; Br.J.Cancer, 92:290-293, 2005.)は、染色体テリトリーに影響を及ぼし、染色体不安定性を誘導するという可能性の証拠を得ている.これらの事実は、染色体テリトリーの維持機構の不調が発がんを促すことを示唆する.そこで、本研究においては、hWAPLの発現異常から染色体テリトリーの破綻への分子メカニズムを明らかにするとともに、発がんにおける染色体テリトリーの関与がどの程度の頻度で癌細胞に起こっているのかを検討していく.今年度は、強力な発がん化学物質としても知られるダイオキシンがhWAPLを誘導することから、ダイオキシンが染色体テリトリーに影響をおよぼす可能性を検討した.その結果、ダイオキシンが12番染色体と16番染色体の相対的核内配置を変化させることを発見した.一般にダイオキシンの細胞毒性は、ダイオキシン受容体(AhR)を介してエストロゲン受容体に影響したり下流遺伝子群の転写制御をすることで生じることが知られている.現在我々は、ダイオキシンの染色体テリトリーに与える影響が、AhRの経路に依存しているか、非依存の新規経路に拠るものかも検討している.
|
Research Products
(6 results)