2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013084
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
深川 竜郎 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教授 (60321600)
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Keywords | セントロメア / DT40細胞 / 染色体分配 / キネトコア / RNAiマシーナリー / CENPs / 染色体不安定性 / 発がん機構 |
Research Abstract |
細胞周期の過程において、染色体が正確に複製、分配されて安定に次世代細胞へと受け継がれていくことは、生物にとって最も基本的な性質であり、正確な染色体分配システムの破綻は細胞の「がん化」などを引き起こす。したがって、正確な染色体複製や分配の分子機構を解明することは、染色体の不安定性の要因を明らかにしてがんの重要な特性を理解できる。報告者は染色体の安定性に関わる染色体分配機構の解明とがん化との関連の解明を目指して研究を行っている。特に、染色体分配に重要な働きを担うセントロメアに注目して研究を進めており、本年度は、セントロメア構築に関わる新規因子の同定と機能解析を中心に研究を遂行した。我々は、これまでCENP-Aをはじめとしてセントロメア構築に関わるCENP-C,-H,-Iのノックアウト株を世界に先駆けて樹立してきた。その研究過程で、各種セントロメアタンパク質の発現をtag付き融合タンパク質の発現に完全に置き換えたDT40細胞を樹立している。これら細胞株の核抽出液から抗tag抗体を用いた免疫沈降法によってセントロメアコア複合体の精製を行った。その結果、CENP-HおよびCENP-Iと強く相互作用する5種類の機能未同定のタンパク質のアミノ酸配列を決定した。それらタンパク質とGFP融合タンパク質を細胞内に発現させて、細胞周期に依存したこれらタンパク質の細胞内局在を解析し、それらがセントロメアタンパク質であることを示した。また、新しく同定したセントロメアタンパク質のうち4種類に関しては、ノックアウト細胞の樹立に成功した。来年度以降に詳細な機能解析を進める。また、がん化とこれらタンパク質の関連についても解析を進める予定である。さらに、RNAiマシーナリーとセントロメア構築との関連を調べる目的で、RNAiマシーナリーに関わるArgonaute遺伝子(群)の条件的ノックアウト細胞株を樹立した。この細胞株の表現型の解析についても、来年度以降精力的に行う。
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