2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013084
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
深川 竜郎 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教授 (60321600)
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Keywords | セントロメア / DT40細胞 / 染色体分配 / キネトコア / RNAiマシーナリー / CENPs / 染色体不安定性 / 発がん機構 |
Research Abstract |
細胞周期の過程において、染色体が正確に複製、分配されて安定に次世代細胞へと受け継がれていくことは、生物にとって最も基本的な性質であり、正確な染色体分配システムの破綻は細胞の「がん化」などを引き起こす。したがって、染色体分配が正確に遂行されるために必要な分子機構を解明することは、染色体の不安定性の要因を明らかにしてがんの重要な特性を理解できる。報告者は染色体の安定性に関わる染色体分配機構の解明とがん化との関連の解明を目指して研究を行っている。特に、染色体分配に重要な働きを担うセントロメアに注目して研究を進めており、本年度は、昨年度までに同定したセントロメアタンパク質複合体の機能解析を中心に研究を行った。また、臨床がん試料あるいはがん細胞におけるそれらセントロメアタンパク質の発現形式の異常についても検討した。その結果、1)CENP-HおよびCENP-Iと強く結合する複合体(CENP-H/I複合体)には、少なくとも13種類のタンパク質が含まれていること2)13種類のタンパク質のノックアウト細胞の表現型解析から、この複合体を3種類のグループに分類することが可能であること3)がん細胞においてこれらのタンパク質の発現が、非がん部細胞においての発現より数倍から数十倍程度亢進していることが明らかになった。来年度以降は、これらタンパク質が他のセントロメアタンパク質複合体とどのように関わっているのかと言う点および、正常細胞においてこれらタンパク質を高発現させた時、がん細胞で観察されたような染色体異常が観察できるのかについて解析を進めて行きたい。さらに、がんと関わる他のセントロメア因子についても、培養細胞およびマウス個体の実験系を用いて解析を進める予定である。
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