2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013084
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
深川 竜郎 National Institute of Genetics, 分子遺伝研究系, 教授 (60321600)
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Keywords | セントロメア / DT40細胞 / 染色体分配 / キネトコア / RNAiマシーナリー / CENPs / 染色体不安定性 / 発がん機構 |
Research Abstract |
細胞周期の過程において、染色体が正確に複製、分配されて安定に次世代細胞へと受け継がれていくことは、生物にとって最も基本的な性質である。染色体分配機構の異常が遺伝情報の不正確な伝達を導き、細胞の「がん化」などを引き起こす。したがって、染色体複製や分配の分子機構を解明することは、染色体の不安定性の要因を明らかにしてがんの重要な特性を理解できる。我々は染色体の安定性に関わる染色体分配機構の解明とがん化との関連の解明を目指し、染色体分配に重要な働きを担うセントロメアに注目して研究を進めている。セントロメアの異常を原因とする染色体不安定性に関する知見を得ることは、基礎生物学的見地に裏づけられた新しいがん化機構の解明の研究につながると考えられる。我々は、CENP-H/CENP-I複合体が、少なくとも13種類のタンパク質から成る複合体を形成することが明らかにしてきた。2008年度は、網羅的な質量分析を用いた解析で個々のタンパク質の修飾(リン酸化など)を明らかにすることを目指した。その結果、CENP-O複合体中にPLK(Polo様キナーゼ)によるリン酸化サイトを複数箇所同定できた。それらサイトをアラニンに変えた変異体をCENP-Oの欠損した細胞へ導入したとこと、CENP-Oクラスタンパク質の機能の低下が観察できた。また、正常ヒト細胞へCENP-H/I複合体タンパク質群を導入した細胞を解析した結果、それらの細胞では、細胞分裂異常がおきていることを見いだした。それらの異常細胞中でのキネトコア構造の変化などを今後解析する予定である。
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