2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013084
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
深川 竜郎 National Institute of Genetics, 分子遺伝研究系, 教授 (60321600)
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Keywords | セントロメア / DT40細胞 / 染色体分配 / キネトコア / RNAiマシーナリー / CENPs / 染色体不安定性 / 発がん機構 |
Research Abstract |
細胞周期の過程において、染色体が正確に複製、分配されて安定に次世代細胞へと受け継がれていくことは、生物にとって最も基本的な性質である。染色体分配機構の異常が遺伝情報の不正確な伝達を導き、細胞の「がん化」などを引き起こす。したがって、染色体複製や分配の分子機構を解明することは、染色体の不安定性の要因を明らかにしてがんの重要な特性を理解できる。これまでに、研究代表者の深川は染色体の安定性に関わる染色体分配機構の解明とがん化との関連の解明を目指し、染色体分配に重要な働きを担うセントロメアに注目して研究を進めてきた。セントロメアの異常を原因とする染色体不安定性に関する知見を得ることは、基礎生物学的見地に裏づけられた新しいがん化機構の解明の研究につながると考えられる。本年度も以下の研究を行い、成果を挙げた。 1) これまでの研究で複数のセントロメアタンパク質が様々なリン酸化を受けている事を明らかにしてきた。本年度は、これらリン酸化サイトに変異させたタンパク質を各種作成してそれぞれのノックアウト細胞コレクションへ導入しノックアウトの表現型を相補できるかどうか調べた。その結果、Mis12タンパク質複合体のリン酸化が微小管結合と関連していることを明らかにできた。 2) 我々は、正常ヒト細胞へ各種セントロメアタンパク質群を導入し、その細胞の表現型を解析してきた。本年度では、キネトコアの超微細構造に注目して、それぞれの細胞でキネトコア構造に変化が起きているかについて、電子顕微鏡を用いて解析した。その結果、これまで構造には変化ないと考えられていたセントロメア構造が、細胞分裂過程でダイナミックに変化することを見いだした。 3) CENP-H/I複合体構成タンパク質のなかで、CENP-Rと呼ぶタンパク質群に対してノックアウトマウスを作成してがん化との関わりについて解析した。CENP-Rのノックアウトマウスは他のセントロメアタンパク質のノックアウトマウスとは異なり、生育が可能であった。がん化との関連は、まだ明らかではない。
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