2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013087
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
江角 浩安 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 臨床開発センター, 院長 (70160364)
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Keywords | 低酸素 / 腫瘍血流 / エネルギー代謝 / 栄養欠乏 / ARK5 |
Research Abstract |
これまでの研究で、1)正常細胞も低酸素状態ではグルコース欠乏に抵抗性になること、2)AKT,AMPKなどが関与すること、細胞の生存と同時にオートファギーの活性化、間質を分解するとMMPが多分子種誘導される事を明らかにした。飢餓状態でのがん細胞の生存という観点からの研究だが、このプロセスで活性化される分子は浸潤・転移能の獲得というがんの悪性化と多くが重なる。がんの微小環境が悪性化の原動力・選択圧である事の証明ともいえる。21年度は、微小環境下でがん細胞がどのようにしてエネルギーを獲得するのかに関し生化学的・メタボロミクス的検討を行った。ヒト膵臓がん細胞株を低酸素低グルコース環境下で培養すると、ミトコンドリア画分では電子伝達系複合体IIであるコハク酸脱水素酵素活性が徐々に減少し、その逆反応のフマル酸還元酵素活性が徐々に高くなる。好気的条件で培養すると酵素活性比(単位時間、単位蛋白質量あたりのフマル酸あるいはコハク酸生成量の比)は、数十対一とコハク酸脱水素酵素活性が強いが、上記条件で培養数日には数分の1までフマル酸還元酵素活性が上昇する。同様の事は細胞や培養液をメタボロミクス解析した場合にも観察され、コハク酸が顕著に増加する。がん細胞が超低酸素下でフマル酸呼吸をする事を証明した。補酵素として働くキノンの生合成系に関しては、合成系酵素が好気的条件と嫌気的条件でアイソザイム複合体の変換がおきている事を見出した。本研究でがんに特異性の高い性質の生化学的機構及びそれを支える遺伝子群及びその働きを明らかにすることにより、これを標的とした治療法の開発が現実的になると考えられ、これは世界に例のない新しい治療法となる。
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Research Products
(8 results)