2005 Fiscal Year Annual Research Report
クラスリン重鎖によるp53の転写活性化能制御の機構の研究
Project/Area Number |
17013088
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
田矢 洋一 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 放射線研究部, 部長(研究職) (60133641)
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Keywords | p53 / クラスリン / p300 / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
エンドサイトーシスで重要な役割を演じるクラスリンの重鎖(CHC)が細胞核の中で軽鎖とは結合せずにp53と結合してp53の転写活性化能を高め、アポトーシスを強く誘導するという全く予想外のことをわれわれは以前に発見していた。p53のSer46をPheに置換したp53とは特に強く結合してアポトーシスも強く誘導する。そして、in vivoでも実際にCHCがp53の転写活性化能に必須であることはsiRNAでCHCの発現を阻害する実験や、CHCの抗体を用いたChromatin Immunoprecipitationの実験で確認した。そこで、このメカニズムの解析を進めた。 その結果、クラスリンの軽鎖(CLC)とp53とがCHCのC末端領域への結合で競合することを明らかにした。さらに、CLC上のCHCへの結合に使われる領域とp53のSer46周辺の配列との間には有意な相同性があることも見いだした。そして、CHCはp300ヒストンアセチラーゼとp53との複合体形成を促進することによってp53依存性転写活性化能とアポトーシス誘導能を高めることもわかった そして、逆にp53が細胞質内の細胞膜周辺にも存在してエンドサイトーシス制御に関与しているらしいという、これまた予想外のことを見出した。特に、細胞質の先端にある細胞膜形成を行うleading edgeでP53とCHCの局在が一致した 一方、CHCはリンパ腫や腎癌などで染色体転座による融合蛋白質を形成している場合があるが、これらの融合蛋白質がp53の転写活性化能を阻害することも見いだした。
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