2008 Fiscal Year Annual Research Report
クラスリン重鎖によるp53の転写活性化能制御の機構の研究
Project/Area Number |
17013088
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
江成 政人 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 研究所・生物学部, 室長 (90294058)
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Keywords | 癌 / 放射線 |
Research Abstract |
1、前年度、核内クラスリン重鎖(CHC)によるがん抑制タンパク質p53の調節機構を明らかにするために、p53/CHC複合体に含まれる核内因子の探索を行ったところ、NuMAという核内タンパク質を同定した。そこで、NuMAによるp53/CHCを介した転写の制御機構を解析することを目的とした。まず、我々は内在性の核内CHCがNuMAと結合するかどうか免疫沈降法を用いて検討し、両者の結合を確認した。また、DNA損傷がNuMAとCHCおよびp53の結合に影響を与えるかどうか検討したところ、DNA損傷によってNuMA-CHC相互作用に影響を与えなかったが、NuMAとp53の結合量はDNA損傷に応答して増加した。さらに、RNAi法を用いて、NuMAの発現を抑制すると、p53を介した転写、特にアポトーシス関連遺伝子の転写ではなく、細胞増殖停止関連遺伝子の転写を減弱させることがわかり、NuMAは少なくともp53を介した転写の選択性に関与していることが示唆された(論文投稿準備中)。また、NuMAとがん遺伝子産物GAS41の結合実験を計画していたが、NuMAの欠失変異体の作製が困難だったため、それらタンパク質間の結合領域の同定には至らなかった。CHCと結合するNuMA以外の核内タンパク質の同定も試みたが、再現良く核内CHCに特異的に結合する因子を得ることはできなかった。 2、細胞膜周辺のp53の機能を明らかにするために、細胞膜画分を調製し、p53の抗体で免疫沈降した後、共沈殿してくるタンパク質の同定を試みたが、p53に特異的に結合する因子の特定には至らなかった。しかしながら、In vitro無細胞系において、アクチン再構築系に関与するCdc42やRac1の活性化がp53タンパク質によって抑制されるというデータを得ており、転写非依存的にp53がアクチン再構築系に関わっていることを示唆している。
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