2009 Fiscal Year Annual Research Report
クラスリン重鎖によるp53の転写活性化能制御の機構の研究
Project/Area Number |
17013088
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
江成 政人 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 研究所・生物学部, 室長 (90294058)
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Keywords | 癌 / 放射線 |
Research Abstract |
我々は最近、エンドサイトーシスにおいて重要な役割を演じることが知られているクラスリン重鎖(CHC)が核内でp53と結合してp53による転写制御に必須の働きをするという全く予想外の発見をした。本研究では、CHCがどのようにp53と結合しているのか、CHCとp53との結合がin vivoにおいて癌化の抑制に重要な役割を担っているかどうか、そして核内においてどのような機構でp53の転写活性化を制御しているのか、さらには、p53が細胞膜周辺で何をしているのかということを解明することを目的とした。In vivoにおけるCHC/p53結合の重要性の検討するために、エンドサイトーシスには影響を与えずp53との結合のみに影響を与えるCHCの変異体を用いて、CHCとp53との結合が癌化の発症に関わっているかをその変異体のトランスジェニックマウスの作製を試みたが、CHCをコードするゲノムDNAが非常に大きいためベクターの構築がなかなかうまくいかず、現在、その構築を検討している。p53/CHC/p300複合体に含まれる蛋白質としてNuMAを発見していた。NuMAはアポトーシス誘導ではなくG1停止機能に必要な遺伝子の発現調節に重要なp53転写選択性に関与する因子であった。そこで、そのNuMAによるp53転写選択性にどのような因子が関わっているのか検討したところ、Cdk8を含むメディエーター複合体が関与していること、NuMAはその複合体をp21のプロモーターへ結合させるのに必要な因子であることを明らかにした。前年度の実験結果より、p53は細胞膜周辺でアクチンの重合を制御していること、G蛋白質Rac1およびCdc42の活性化を抑制することを示唆するデータを得ていた。In vitro結合実験より、p53がRac1およびCdc42に結合することが示され、p53が直接的に阻害していることが示唆された。
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