2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17013089
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
荒川 博文 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 生物物理部, 部長 (70313088)
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Keywords | p53 / 標的遺伝子 / がん抑制遺伝子 / マイクロアレイ / 細胞質分裂 / 染色体異数性 / オートファジー / がん治療 |
Research Abstract |
がん抑制遺伝子p53はヒトがんで最も高頻度に異常の認められる重要な遺伝子であり、そのコードする蛋白質は転写因子である。従ってその標的遺伝子として転写制御を受ける遺伝子群は、p53の生理機能を実行する因子であると考えられているが、その数は200から300近くに達すると予測されている。最近では、これらp53標的遺伝子の中に、それ自体ががん抑制遺伝子として機能するものが存在する事実が明らかとなってきた。我々はp53の生理機能の全貌解明と、新しいがん抑制遺伝子の単離の目的で、p53標的遺伝子の単離とその機能解析を進めている。本年度は、BLNK遺伝子及びNCCRI2遺伝子が新規p53標的遺伝子であることを明らかとし、BLNKが、細胞質分裂を抑制し、DNA損傷後の染色体異数性発生の防御に重要な役割を果たし、染色体分離の新しい監視機構であることを明らかとした。p53によるゲノム安定性維持機構は不明であったが、BLNKの解析により、全く新しいメカニズムを明らかとすることができた。また、NCCRI2は、新規オートファジー関連蛋白質であることを明らかとし、ヒトがんで高頻度に不活性化され、腫瘍増殖を強力に抑制する活性を有している事実を見出した。p53によるがん抑制機序の一端が、オートファジーの制御である可能性を示した。これらの研究の成果は、発がんのメカニズムの解明にとどまらず、それらの機能を応用した新しいがん治療法開発のための重要な基盤となりうると考えられる。
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Research Products
(2 results)