2009 Fiscal Year Annual Research Report
胃がんでのDNAメチル化異常ゲノム網羅的解析によるがん抑制遺伝子の同定と機能解析
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17013090
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
牛島 俊和 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 発がん研究部, 部長 (90232818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 潔 , 発がん研究部, 主任研究官 (50311410)
渡邉 直子 , 発がん研究部, 研究員 (80255364)
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Keywords | 胃がん / DNAメチル化 / ゲノム / エピジェネティクス / サイレンシング |
Research Abstract |
DNAメチル化異常の誘発機構には不明の点が多い。これまで、CpGアイランド内のCpG部位の散在性DNAメチル化はCpGアイランド全体の高密度なメチル化につながること、散在性メチル化が増加した細胞株では高転写レベルの遺伝子でさえもメチル化されることを示してきた。また、散在性メチル化増加の原因として、DNMT3Bの過剰発現が関与している可能性を示した。一方、DNAメチル化異常の誘発要因として、胃粘膜ではHelicobacter pylori(H.pylori)感染が重要であること、H.pylori自体よりも誘発された炎症がDNAメチル化異常誘発に重要であることを示してきた。 今年度は、H.pylori(CagA陽性)感染、H.pylori(CagA陰性)感染、H.felis感染、食塩、エタノールにより胃粘膜に長期間炎症を惹起し、炎症の種類とDNAメチル化異常誘発の関連を解析した。各群8匹の5週齢雄スナネズミに、H.pyloriの経口投与、飽和食塩水の強制胃内投与、50%エタノールの間欠投与を20週間実施した。屠殺後、胃粘膜上皮及び胃粘膜全層を採取した。胃粘膜上皮を用いて、H.pylori憾染によりメチル化される8個のCpGアイランドについて、DNAメチル化レベルを定量的methylation-specific PCR法により測定した。胃粘膜全層を用いて、炎症細胞の浸潤及びKi-67陽性細胞の割合を組織学的に評価、また、炎症細胞浸潤・炎症関連遺伝子の発現を定量的RT-PCRにより解析した。 DNAメチル化レベルは8個のCpGアイランドで同様の傾向で、Helicobacterを感染させた3群でのみ誘発された。細胞増殖は全ての群で誘発され、食塩投与群で最も強かった。従って、細胞増殖の誘発のみでは、DNAメチル化異常は誘発されないことが示された。更に、DNAメチル化異常が誘発された3群では、Illb,Nos2そしてTnfの発現が上昇していた。CagAの有無は、DNAメチル化異常の誘発には大きく関係しなかった。
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Research Products
(10 results)