2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリ感染による実験胃がんとその発症因子の解析
Project/Area Number |
17013096
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
立松 正衛 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 副所長兼部長 (70117836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 徹哉 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 室長 (00236861)
池原 譲 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 主任研究員 (10311440)
溝下 勤 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 研究員 (40347414)
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Keywords | Helicobacter pylori / スナネズミ / 食塩 / 胃表層粘膜層(SMGL) / 脱窩上皮由来ムチン(SMCM) / 胃腺由来ムチン(GMCM) / MUC5AC / MUC6 |
Research Abstract |
我々は、食塩がHelicobacter pylori(Hp)感染スナネズミ腺胃で、用量依存性に胃がん発生を促進することを明らかにしてきたが、食塩の胃発がん促進作用のメカニズムについては不明な点が多い。今回、食塩の胃表層粘液層(surface mucous gel layer,SMGL)に及ぼす影響をスナネズミモデルで解析した。 スナネズミをHp+10%食塩食群(19匹)、Hp+通常食群(20匹)、10%食塩食群(18匹)、通常食群(17匹)に分け、SMGLの構成成分である腺嵩上皮由来ムチン(surface muous cell mucin,SMCM)と胃腺由来ムチン(gland mucous cell mucin,GMCM)とそれらのコアタンパクであるMUC5ACとMUC6の発現を定量的に解析した。 スナネズミ腺胃において、SMGLはヒトと同様にSMCMとGMCMが重層構造を形成していた。10%食塩食群では、SMCM層が厚くなり、逆に、Hp+通常食群ではGMCM層が厚くなった。Hp+10%食塩食群では、これらの中間型を呈した。スロットブロット法によるSMCM/GMCMの定量的解析では、Hp感染によりGMCMが増加したが、10%食塩食投与によりSMCMの増加とGMCMの減少が見られた。また、Hp感染によりGMCMのmucin core proteinであるMUC6 mRNAが増加したが、SMCMのmucin core proteinであるMUC5AC mRNAでは各群間で差はなかった。 以上のスナネズミモデルでの結果より、食塩は、スナネズミ腺胃粘膜において、Hpが好んで生息するSMCMの増加と抗Hp作用があるGMCMの減少を来すことにより、Hp感染とそれによる炎症の増悪と胃発がんを促進する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)