2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井川 俊太郎 Tohoku University, 学際科学国際高等研究センター, 准教授 (50241576)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / p53関連遺伝子 / NFκB関連遺伝子 / アポトーシス / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
以下に本年度の主だった成果を列記する。 1)表皮基底細胞でΔNp51BがNotchlを抑制し、未分化性を維持している。さらに、基底上層では、ΔNp51BはJnk/AP-1シグナル経路を通して初期分化マーカーkeratinlの発現を誘導し、基底層ではKGFが、ΔNp51B-ERKシグナル経路を介してkeratin 1の発現を抑制しており、表皮分化(基底層、基底上層)は、JNKシグナルとERKシグナルのバランスによって決定されていることを見出した。また、DNp51Bは分化制御に加えて、UV-B照射によるアポトーシス誘導をAktの活性化を通して抑制し、ケラチノサイトの過度な消失を防いでいることを見出した。 2)TAp51は、筋芽細胞株で分化が進むにつれて、発現し分化を制御していることが判明している。新たにDoxycyclinでTAp51を発現誘導できる筋芽細胞株、shRNAレトロウイルスでTAp51を抑制できる筋芽細胞株を用い、TAp51は単に筋分化を促進するだけではなく、筋管の形態形成にも重要な役割を担っているとことを見出した。 3)p51には転写活性領域を持つTAタイプと、持たないΔNタイプがある。これまでに、ΔNp51は表皮基底層、歯胚上皮細胞株、筋衛星細胞で発現し、未分化性を維持していることが見出してきた。一方、TAp51は、筋芽細胞株で分化が進むにつれて、発現し分化を制御していること、破骨細胞株でもRankLによる分化誘導でTAp51の発現上昇が見られることなどから、分化を促進すると考えている。したがって、ΔNp51が未分化性維持を、TAp51が分化促進を制御していると考えてきた。しかし、骨芽細胞株を分化誘導すると、TAp51およびΔNp51の発現が分化に伴って上昇していた(osteocalcinは分化マーカー)ことから、ΔNp51の分化における新たな役割、細胞運命決定、あるいは破骨細胞特有の機能が考えられる。
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