2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014010
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
的崎 尚 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (80252782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 浩史 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (70334125)
岡澤 秀樹 群馬大学, 生体調節研究所, 助手 (80334126)
村田 陽二 群馬大学, 生体調節研究所, 助手 (60400735)
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Keywords | 細胞増殖 / 細胞接着 / CD47 / SHPS-1 / Rac / Cdc42 / がん |
Research Abstract |
がんの生物学的特性である無制限な増殖能や浸潤・転移能を分子レベルで理解するために、本研究ではチロシンホスファターゼとこれに関連する分子群の生理機能とがんにおける異常につき検討する。受容体型の分子SHPS-1は、その細胞内領域にチロシンホスファターゼであるSHP-2を結合させると共に、その細胞外領域はやはり受容体型の分子CD47と相互作用し双方向性にシグナルを伝える。すでに、CD47→SHPS-1のシグナルによりがん細胞の運動を抑制的に制御していることを報告しているが、SHPS-1→CD47のシグナルについては明らかでなかったのでこれを解析した。小腸上皮や培養上皮細胞株MTD-1A細胞などでは、CD47はE-cadherinやZO-1と共に細胞間接着部位に共局在し、この局在化にはCD47の5回膜貫通領域が必要であった。CD47を強制発現させると細胞の伸展とlamellipodia形成が誘導され、さらにMDCK細胞ではHGF刺激による細胞運動が亢進した。また、可溶性SHPS-1-Fc刺激によりCD47発現細胞ではfilopodia形成が顕著となった。CD47の突起伸長作用や細胞伸展作用は、Srcキナーゼ阻害剤やCskの強制発現で抑制されることから、Srcキナーゼの関与が想定され、特にチロシンリン酸化で刺激されるRac/Cdc42のGEFであるFRGあるいはVav2がCD47の機能に関与する可能性がある。以上の結果から、上皮細胞などにおいてCD47は、Rac/Cdc42系を介して細胞骨格を再構成することで細胞伸展・運動を正に制御していると考えられる。卵巣がんをはじめとする複数のがんではCD47の高発現が報告されており、CD47の異常とがん細胞の浸潤・転移における役割について今後明らかにする予定である
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Research Products
(5 results)