2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 由季子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70252525)
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Keywords | Akt / 生存シグナル / アポトーシス / JNK / 14-3-3 |
Research Abstract |
細胞周期のG1/S期制御に中心的な役割を果たす転写因子E2FファミリーのメンバーであるE2F1は、他のE2Fファミリーメンバーとは異なり、DNA損傷などの細胞障害に応答して分解が抑制され活性化し、アポトーシス誘導に働くことが知られている。E2F1遺伝子破壊によってがん化が促進することが示されているが、このとき、E2F1の持つアポトーシス誘導活性ががん抑制因子としての機能に重要であると考えられている。そこでE2F1の制御、特に分解制御メカニズムはがん抑制を理解する上で重要であると考えられるが、E2F1の生理的ユビキチンリガーゼについてはこれまで不明であった。当グループは、p53のユビキチンリガーゼとして良く知られている癌遺伝子産物Mdm2がE2F1のユビキチン化を直接触媒することをin vitro再構成系により示した(未発表)。また、このMdm2のE2F1ユビキチン化活性は癌遺伝子産物Aktによるリン酸化で著しく活性化した。本研究においてはさらに、E2F1上のMdm2によるユビキチン化部位を4つ同定した。重要な事に、これらのユビキチン化部位を変異したE2F1タンパク質が細胞内で安定化し、半減期が長くなる事があきらかになった。さらにMdm2-/-p53-/-繊維芽細胞においては、p53-/-繊維芽細胞よりもE2F1タンパク質の半減期が長くなり、Mdm2遺伝子産物がE2F1の生理的なユビキチンリガーゼであることが強く示唆された。従って、Mdm2とその活性化因子であるAkt(いずれも癌遺伝子)が癌抑制遺伝子p53に加えE2F1をも分解することにより癌化を誘導している可能性が示唆された。 ごく最近、野生型およびユビキチン化部位変異体E2F1に結合する因子の候補を培養細胞抽出液からの免疫沈降により複数同定した。これらの中にはE2F1の転写活性を抑制する因子が含まれており、現在その抑制機構ならびに制御機構を検討中である。
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Research Products
(3 results)