2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千田 和広 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00192188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 邦彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20188858)
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Keywords | がん / 上皮細胞 / シグナル伝達 / 酵素 / 過形成 |
Research Abstract |
ホルボールエステル発がんプロモーターはマウス表皮の過形成を誘導する。この際、基底細胞の増殖が同調的に3回誘導されるが、この機構については不明である。発がんプロモーターの標的分子PKCの中で、基底細胞で高発現するPKCαのノックアウトマウスを用いて過形成を調べた。ホモ型では、表皮過形成が顕著に低下した。基底細胞の同調的DNA合成の誘導は、1回目は野性型と変わらなかったが、それ以降が顕著に低下した。過形成誘導直後に、角化細胞のEGFレセプターとERKが活性化されるが、ホモ型と野性型に違いはみられなかった。しかし、ホモ型ではTGF-αとHB-EGFの発現が顕著に減少した。皮膚ではEGFは検出されず、TGF-αとHB-EGFがEGFレセプターリガンドとして働く可能性が高い。これらEGFレセプターリガンドは角化細胞でプロ体として発現し、プロテアーゼによるシェディングを受けて遊離、レセプターに結合する。PKCαがEGFレセプターリガンドを誘導し、表皮基底細胞の同調的増殖を誘導することを明らかにした。しかし、皮膚二段階発がん実験を行なったところ、ホモ型マウスにパピローマが顕著に発生した。このことは、上皮組織の過形成が発がんの下地となるという説に疑問を投げかける結果である。 マウス胎児由来繊維芽細胞を用いてアポトーシスを検討した。PKCα欠損細胞では、UV照射によるDNA断片化が顕著に抑制された。その際、JNK2の活性化が野性型に比べて高かった。しかしJNK1の活性化に差はなかった。また、DNAミスマッチ修復分子MutSαの核移行にも差はなかった。PKCαがJNK2を介して、アポトーシスに抑制的に働くことを明らかにした。このことは、上皮組織の過形成と発がんを、上皮細胞のアポトーシスと関連させて検討する必要性を示している。
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Research Products
(1 results)