2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014014
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千田 和広 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (00192188)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 邦彦 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (20188858)
|
Keywords | がん / 上皮細胞 / シグナル伝達 / 酵素 / 過形成 |
Research Abstract |
繊維芽細胞をコラーゲンゲル内に封じ、その上に角化細胞を培養するマウス皮膚モデルを確立した。この三次元培養は角化細胞層を空気暴露することで重層化を誘導できる。角化細胞の重層化は繊維芽細胞の存在に依存する。空気暴露は角化細胞のIL-1αおよびIL-1βの誘導を促進した。また、繊維芽細胞のKGF1およびKGF2発現を促進した。とりわけ、IL-1βとKGF1の発現と角化細胞層の厚さとの間に良い相関がみとめられた。IL-1α/βは繊維芽細胞のKGF1/2を誘導する。また、KGF1/2は角化細胞の増殖を誘導する。 PKCηノックアウトマウスの角化細胞はIL-1α/βの発現が高く、とりわけIL-1βは顕著である。この角化細胞を皮膚モデルで培養したところ、過度に重層化した。アデノウイルスを用いてPKCηを強制発現させると重層化は抑制された。これまでに、PKCηが表皮過形成と腫瘍発生に抑制的に働くことを明らかにしている。表皮顆粒層で発現するPKCηがIL-1α/β等の発現を制御し、サイトカインを介した上皮と間質の細胞間相互作用によって扁平上皮細胞の重層化が制御されると考えられる。 表皮基底細胞の増殖にはEGFレセプターの活性化が必須である。しかし皮膚ではEGFは発現せず、EGFレセプターリガンドとしてTGFα、HB-EGF、 amphiregulinとepiregulinが角化細胞で発現している。表皮過形成が抑制されるPKCαノックアウトマウスの角化細胞は、フォルボールエステル発がんプロモーター処理するとこれらリガンドの発現が低下した。しかし、TGFαやHB-EGF処理によるこれらEGFレセプターリガンドの発現誘導は、野性型と変わらなかった。PKCαはEGFレセプターシグナル経路とは異なる機構でEGFレセプターリガンドの発現制御に関わる可能性を示している。
|