2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福井 泰久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00181248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊原 さよ子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80292788)
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Keywords | PI3キナーゼ / 印環細胞がん / PIP_3 / ムチン / リサイクリング / ゴルジ体 / 初期エンドソーム / アダプタータンパク質 |
Research Abstract |
印環細胞がんでは細胞間相互作用が失われていること、ムチンなどの粘質の分泌が亢進されている事などの特徴がある。今年度はムチンの分泌について検討した。印環細胞がんではErbB2とErbB3が活性化され、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)が活性化されたErbB3と結合している例が多い。ErbB2やErbB3をRNAiでノックダウンするとムチンの分泌が阻害される。さらに印環細胞がんでPI3K結合タンパク質を検索するとErbB3のほかにアダプタータンパク質Gab1が見つかる。ErbB2、ErbB3はもとより、Gab1のノックダウンもムチンの分泌が抑制される。そこで、Gab1とムチンの関係について、詳細に調べた。Gab1の局在を調べたところ、印環細胞がん株ではゴルジ体であった。一般にGab1は活性化されると細胞質から細胞膜に移行すると言われているので、ゴルジ体に移行するのはどのような場合か調べた。その結果、heregulinやNGFの刺激による場合はゴルジ体に移行するが、EGFなどの場合は細胞膜に移行することがわかった。PI3KはGab1とともにゴルジ体に移行した。ゴルジ体でのPI3Kの酵素活性の上昇も検出された。Gab1ノックダウン細胞におけるムチン蓄積場所を調べたところ、ゴルジ体ではなく、初期エンドソームであった。ムチンはゴルジ体から細胞膜にいったん移行した後、再度取り込まれ、エンドソームを経てゴルジ体に戻るといういわゆるリサイクリングをしていることが知られている。これらのことを総合するとPI3K/Gab1複合体はゴルジ体において、ムチンのリサイクリングに関与していると考えられる。印環細胞がんではPI3K/Gab1複合体によりムチンの分泌が亢進されていると思われる。
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Research Products
(4 results)