2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福井 泰久 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (00181248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊原 さよ子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (80292788)
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Keywords | 印環細胞がん / PI3-キナーゼ / ムチン / ErbB2 / ErbB3 / SWAP-70 / 悪性腫瘍 / Muc4 |
Research Abstract |
細胞極性、細胞間相互作用と膜シグナリングを検討するため、ふたつの研究を主に展開した。ひとつは、印環細胞がんに関わる研究である。われわれは、細胞極性を喪失し、細胞間相互作用をまったく失っている印環細胞がんではErbB2/ErbB3複合体が恒常的に活性化されていることを検出していた。しかしながら、ErbB2やErbB3に変異が見られないことから、これがなぜ起こっているのか不明であった。CarrawayたちはMuc4というムチンがErbB2と結合し、活性化させることを示したが、世界的に認められるにいたらなかった。われわれは、抗ErbB2抗体、抗Muc4抗体を自作することにより、Muc4の印環細胞がんへの関与を検討した。その結果、他の胃がん細胞株ではErbB2/Muc4の複合体は検出されないのに比べ、印環細胞がん株NUGC4とKATOIIIでは明らかに、この複合体が存在することが明らかとなり、Muc4の印環細胞がんへの関与が示唆された。 一方、SWAP-70はホスファチジルイノシトール(PI)3キナーゼの反応産物である膜上2次メッセンジャーでPI三リン酸(PIP3)に結合することにより、増殖因子の刺激に応じて細胞膜に移行する。SWAP-70のがんへの関与を調べるために、SWAP-70欠損マウス繊維芽細胞をv-Srcでトランスフォームさせた。SWAP-70をも発現させた細胞は足場非依存的に増殖したが、SWAP-70を発現させなかった細胞では増殖しなかった。また、増殖能もSWAP-70が存在しないと大きく劣ることがわかった。さらに、ヌードマウスに移植した際もSWAP-70欠損のトランスフォーム細胞は増殖が大きく抑制されていた。以上の事より、SWAP-70はマウス繊維芽細胞のv-Srcによる悪性腫瘍化に重要であることが示された。このことは、人がんでのSWAP-70の関与を示唆している。
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Research Products
(6 results)