2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮島 篤 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (50135232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 稔 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (80321909)
関根 圭輔 明海大学, 歯学部, 助手 (00323569)
伊藤 暢 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (50396917)
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Keywords | 肝細胞 / 発生 / 分化 / シグナル伝達 / サイトカイン / モノクローナル抗体 / 幹細胞 |
Research Abstract |
成体の肝細胞は通常ほとんど分裂しないが、肝障害により肝細胞が細胞死と再生を繰り返えすことにより肝癌が発生すると考えられている。肝癌の発生機構の理解には正常な肝細胞の分化機構の理解が重要であり、我々は肝幹細胞の性状と肝細胞分化機構の解明を目指している。胎児期の肝臓には肝細胞と胆管上皮細胞へと分化する肝芽細胞が存在しており、それが肝臓の幹細胞と考えられている。しかし、その実態は十分に解明されておらず肝芽細胞を分離するための分子マーカーとして、すでに細胞膜タンパク質D1kを同定している。今回、我々はepithelial cell adhesion molecule(EpCAM)が初期の肝原基に発現しており、EpCAMとD1kを同時に発現する細胞が最も初期の肝芽細胞であることを見いだした。肝細胞の性質は胎生期から出生時にかけて大きく変化する。この肝細胞分化の分子機構を明らかにすることを目的に、我々は肝細胞に発現する膜タンパク質を多数同定してきた。それらの中でIgファミリーのTim2とlamininに結合することが知られているLutheranが肝細胞分化をそれぞれ負および正に制御することを胎生肝細胞の分化誘導システムにて明らかにした。また、成体肝臓のもつ様々な機能の獲得にはC/EBPaが必須であり、その遺伝子欠損は出生直後に致死となる。一方、C/EBPaの発現は胎児期から成体にわたりほぼ一定であり、肝細胞分化成熟はC/EBPaのみでは説明することはできない。とりわけ糖新生酵素の発現はC/EBPaに依存するのみならず、インスリンの影響を受ける。我々はインスリンの制御を受ける転写因子Foxo1がC/EBPaと協調的に作用して糖新生酵素の発現制御を行うことを明らかにし、出生前後でのインスリンの変化と糖新生酵素発現誘導との関係を分子レベルで説明することができた。
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