2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 純一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70176428)
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Keywords | シグナル伝達 / NFκB / TRAF6 / HTLV-1 / Tax |
Research Abstract |
転写制御の異常は細胞周期制御の破綻を導き、時には、癌化を誘導すると考えられているが、不明な点が多い。本研究では、「転写因子の活性制御機構及び、転写因子の異常によって生じる細胞機能の破綻を分子レベルで解明する」ことを目指す。特にNFκB活性化のがん化における役割、TRAF6によるNFκB活性化シグナル伝達機構及びTRAF6シグナルによる細胞増殖・分化の誘導機構の解明を目的として今年度は以下の結果を得た。1)成人T細胞白血病の原因ウイルスであるHTLV-1のTaxタンパク質によるNFκB活性化の際にIKKβのリン酸化とNEMOのユビキチン化が起こる。しかし、K63型ユビキチン付加酵素Ubc13やIKKリン酸化酵素と報告されているMEKK1, MEKK3, NIK, TAK1のRNAi法によるノックダウンはTaxによるNFκBの活性化に影響しなかった。従ってTaxはIL-1やLPS等のシグナルとは異なりユビキチン化非依存的にIKKのリン酸化を誘導すると考えられた。2)TRAF6によるNFκB活性化はUbc13とTAK1に依存すると考えられていた。しかしながら、RNAi法によりUbc13とTAK1を同時にノックダウンしてもIL-1刺激によるNFκB活性化は部分的にしか抑制されなかった。一方同一条件下、JNKの活性化を著しく抑制された。この結果は、従来の考えとは異なり、TRAF6によるNFκB活性化にUbc13/TAK1非依存的なIKK活性化経路が存在することを示している。現在、このUbc13/TAK1非依存的な経路と癌細胞の悪性化に関与する恒常的なNFκBの活性化についてさらに検討している。
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