2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清木 元治 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (10154634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越川 直彦 東京大学, 医科学研究所, 講師 (70334282)
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Keywords | MT1-MMP / ラミニン332 / 腫瘍血管新 / 生モノクローナル抗体 / コラーゲン分解 |
Research Abstract |
1. 腫瘍血管新生におけるMT1-MMP発現と役割 腫瘍・間質で機能するプロテアーゼとして膜型マトリックスメタロプロテアーゼMT1-MMPに着目している。今年度は腫瘍血管新生におけるMT1-MMPの関与を解析した。MT1-MMPノックアウトマウスの組織では血管新生に障害があることが知られている。血管内皮細胞の培養では確かにMT1-MMPの発現が観察されるが、組織片から伸長する血管ではMT1-MMPの発現部位は伸長する血管細胞の先端部分に限局することが明らかとなった。血管内皮細胞は平滑筋細胞と相互作用することによって血管の成熟が起こる。MT1-MMPの発現抑制は平滑筋細胞との接着によりおこること、先端細胞は平滑筋細胞に覆われていないことによりMT1-MMPの発現が維持されていることが明らかとなった。MT1-MMPの発現を抑制するシグナル系としてはTie2が重要であることなどを明らかにした。 2. ラミニン5の単鎖成分を特異的に検出するモノクローナル抗体の作製 基底膜の主要成分としてラミニン332(Laminin-5: Ln-5)が知られている。Ln-5はヘテロ3量体のポリペプチド鎖で構成されるが、腫瘍組織ではその一つであるγ2鎖の単独発現があり、悪性度との相関が強いことが知られている。γ2鎖はMT1-MMPによって優先的に切断され、その断片が細胞運動を刺激し、細胞死を抑制する活性を持つことが報告されている。しかし、全てのγ2鎖に対する抗体はLn-5にも反応するために、生体内に単鎖で存在するγ2鎖を高感度で検出する方法はなかった。今回、Ln-5は反応せず、γ2鎖にだけ反応するモノクローナル抗体の作製に成功した。本抗体は免疫染色で悪性腫瘍組織のγ2鎖にのみに反応し、正常基底膜は染色しない。此れまで、高感度の検出方法がなかったγ2鎖の腫瘍における役割を検証する研究の材料として有望である。
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