2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清木 元治 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10154634)
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Keywords | MT1-MMP / p27RE-Rho / Rho活性化 / 浸潤突起 / HIF-1 / マクロファージ / FIH-1 / Mint3 |
Research Abstract |
MT1-MMPはがん細胞の浸潤装置として重要である。浸潤装置を構成するタンパク質を同定するために、MT1-MMP会合タンパク質の網羅的プロテオミクス解析を行って様々な細胞膜、細胞質タンパク質を同定した。その中で、MT1-MMPの細胞内ドメインに結合する新規タンパク質を解析した。本タンパク質は、細胞質でRhoAの活性化を阻害することが知られているp27^<kip1>の結合タンパク質であった。その過剰発現はRhoAの活性をを促進することからp27kip1 releasing factor from Rho(p27RF-Rho)と命名した。P27RF-Rhoは細胞内にあって基質接着面に斑様の分布を示した。細胞をLPAで刺激すると、p27RF-Rhoの存在部位でRhoAの活性化が観察されると同時に、アクチン重合が起こり、その周囲で細胞外基質の分解が亢進した。このことから、p27RF-Rhoががん細胞の浸潤突起形成を制御することが明らかとなった。また、p27RF-Rhoの発現を抑制すると、LPA刺激に応答した浸潤突起形成が顕著に阻害された。浸潤突起にはMT1-MMPが局在することから、p27RF-RhoはMT1-MMPの浸潤過程における機能を浸潤突起形成を通して制御していることが明らかとなった。 マクロファージは腫瘍形成を促進する重要ながん微小環境の制御因子である。マクロファージのエネルギー産生は好気的解糖系に依存している。解糖系の制御は、通常は低酸素分圧下で活性化されるHIF-1が担っているが、マクロファージでは恒常的なHIF-1活性化がみられる。今回、HIF-1を好気的条件下で抑制している因子FIH-1をマクロファージ特異的に解除している因子としてMint3を同定した。マクロファージの腫瘍形成への関与を遮断する新たな経路としての応用性を考える。
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Research Products
(3 results)