2006 Fiscal Year Annual Research Report
がん組織における血管内皮細胞増殖のシグナリング機構
Project/Area Number |
17014020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渋谷 正史 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 典子 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10251448)
櫻井 桂子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10361619)
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Keywords | 血管新生 / VEGF / VEGF受容体 / 腫瘍血管 |
Research Abstract |
VEGF受容体-1のシグナルが欠損したflt-1 TK-/-マウスをもちい、このマウスにおいては移植腫瘍の増殖が顕著に低下する腫瘍のあること、すなわち、VEGF受容体-1のシグナルが原発腫瘍の増殖を促進させることを見出した。その分子機構については、VEGFR-1シグナルを利用した骨髄由来細胞の遊走促進や、血管内皮細胞の生存・増殖促進などが示唆される。これまでに我々はVEGF受容体-1のシグナルが転移前に組織MMP9発現を上昇させ、転移の促進に関わることを明らかにしており、VEGFR-1のシグナルはがん進展の複数の段階で促進的に作用することが明らかとなった。がんの悪性化を抑制する重要な分子標的と考えられる。一方、血管新生抑制機構について解析し、内因性血管阻害因子として知られるTSP-1(トロンボスポンジン-1)はこれまでCD36を受容体とすることが報告されていたが、血管内皮細胞の細胞周期抑制を介した新しい機構も利用することを明らかにした。TSP-1添加によりp21上昇が観察され、アポトーシス誘導は軽度であった。CD36発現の低い内皮細胞に対しても抑制効果が期待される。 また、東大医科研・田原教授との共同研究で、抗Flt-1(VEGFR-1)ワクチン療法に有用なペプチドをFlt-1内部に同定した。さらに、Dr.Ambatiら(米国)と共同で、遊離型Flt-1は眼の角膜上皮細胞に強く発現しており、角膜の無血管性を維持するための重要な内因性VEGF阻害物質であることを示した。
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Research Products
(6 results)