2009 Fiscal Year Annual Research Report
がん組織における血管内皮細胞増殖のシグナリング機構
Project/Area Number |
17014020
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渋谷 正史 Tokyo Medical and Dental University, 医学部, 非常勤講師 (10107427)
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Keywords | VEGFR-1 / マクロファージ / 腫瘍血管 / 血管阻害療法 / 低酸素・低栄養ストレス |
Research Abstract |
(1)VEGF受容体-1(VEGFR-1/Flt-1)のがん増殖への関与:我々はVEGFR-1シグナルががん転移のみならず、がんの増殖それ自身にも促進作用をもつことを示してきた。その作用はVEGFR-1 TK-/-マウス由来骨髄を移植した野生型マウスにおいても観察された。そこで、その作用機構を詳しく調べ、VEGFR-1 TK-/-骨髄移植マウスのがん組織ではマクロファージ系細胞の浸潤、および、血管新生が低下することを見出した。これらの点から、VEGFR-1は主に骨髄系細胞を介してがんの増殖に関与しており、VEGFR-1シグナルはがんの増殖・転移制御のための分子標的のひとつになると考えられる。(2)VEGFR-1の細胞内シグナルの解析:VEGFR-1からのシグナル、特に細胞遊走に対するシグナルは不明の点が多い。これを解析した結果、アダプタータンパクのひとつRACK1がVEGFR-1に会合し、PI3キナーゼを制御して細胞遊走を制御する経路が示唆された。(3)TGFbetaスーパーファミリーのがん微小環境に対する作用を検討した。その結果、血管内皮細胞のみならず、リンパ管内皮細胞にも増殖抑制作用をもつものを見出した。個体レベルの効果が認められるか、数種類のがん細胞株をもちい詳細を解析中である。(4)血管新生阻害療法に対するがん細胞の応答:がんの血管新生阻害療法は確立しつつあるが、抵抗性の獲得など問題も多く残されている。本療法により、がん細胞は低酸素、低栄養ストレスを受けることから、そのin vitroモデル系を作成して解析した。その結果、マウス、ヒトがん細胞ともにFGFファミリー遺伝子発現亢進、ヒストン修飾酵素ファミリーの誘導、などが観察された。それらを分子標的として変化させることにより、これらストレスに抵抗性を示すがん細胞の増殖を低下させることが可能であった。
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Research Products
(17 results)