2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014030
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山梨 裕司 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (40202387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 理 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (50361720)
真嶋 隆一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00401365)
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Keywords | シグナル伝達 / 蛋白質 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
チロシンキナーゼは癌細胞の増殖制御に深く関与する機能分子である。代表者らはその制御機構を解明する目的で、独自に単離したDok-1(p62^<dok>)とそのファミリー分子の発癌における病態生理学的な機能と作用機序の解析を進めている。これまでの研究から、我々はDok-1とDok-2がサイトカインによる細胞の増殖・生存シグナルを負に調節し、骨髄球系細胞の腫瘍化とその増悪化の抑制に機能していることや、発癌に深く関連する炎症性の自然免疫シグナルの抑制に機能していることを解明している。さらに、本年度の研究によって、腫瘍免疫において重要な役割を担うT細胞受容体(TCR)シグナルに対しても、Dok-1とDok-2が、その初期シグナルの抑制因子として機能していることを解明した。興味深いことに、サイトカインシグナルや炎症性の自然免疫シグナルの場合とは異なり、TCRシグナルに対する抑制機能には、両分子のC末端側のSH2結合配列は不要であった。このことは、既知のアダプター分子としての作用機序とは異なる、新たなDok-1/2の作用機構の存在を示すものである。なお、既に、Dok-1/2/3三重欠損マウスの樹立にも成功し、造血系細胞に高発現するDokファミリー分子全体のがん抑制機能に関する解析を進めている。 他方、我々は新規のDokファミリー分子としてDok-7を発見し、それが、細胞内分子であるにも係らず、受容体型チロシンキナーゼであるMuSKの活性化因子として機能することを明らかにした。この発見は、細胞内アダプター分子として同定されたDokファミリー分子群が、発癌に関わるチロシンキナーゼの上流因子としても機能し得ること提示した重要な知見と言える。また、線虫におけるRas-Erkシグナルの正の調節因子であるRog-1の発見にも成功している。
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