2005 Fiscal Year Annual Research Report
インテグリン裏打ち蛋白質とがん細胞の接着・運動制御
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17014045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木岡 紀幸 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90234179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 道憲 京都大学, 農学研究所, 助手 (00335308)
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Keywords | 細胞接着 / 細胞骨格 / 細胞運動 / アクチン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
「細胞接着」と「細胞運動」、およびそれらをコントロールする「細胞骨格」は、がん細胞の浸潤、転移に重要な役割を担っており、正常細胞におけるこれらの制御メカニズムとがん細胞における異常の仕組みを明らかにしていく必要がある。申請者はこれまでインテグリン裏打ち蛋白質に着目し、そのひとつであるビネキシンが細胞接着やアクチン細胞骨格の形成を促進すること、v-srcがん遺伝子によるがん化でビネキシンの発現が抑制されることなどを示してきた。本年度はビネキシンによるアクチン細胞骨格制御の仕組みを明らかにするために、ビネキシンの発現によって影響を受けるアクチン制御タンパク質を探索した。その結果、ビネキシンβをNIH3T3細胞で強制発現させることによって、1)WAVE2の発現量を増大させること、および2)WAVE2のリン酸化状態を変化させることを見出した。WAVE2はアクチン重合核形成の促進因子であり、浸潤転移との関連が示唆されている。さらにWAVE2はユビキチンープロテアソーム系による分解を受けており、ビネキシンの発現はPKA(protein kinase A)活性に依存して、この分解を抑制していることがわかった。この仕組みを介してアクチン細胞骨格の制御、がん細胞の運動の制御に関わっている可能性も考えられる。また、がん細胞におけるビネキシンの機能を調べるために、高浸潤能をもつHT1080細胞のビネキシンの発現をRNA干渉法によって抑制した。その結果HT1080は細胞接着能には変化は見られなかったが、伸展能が減少した。このメカニズムについては検討中であるが、上記WAVEの制御が関わっている可能性に加え、RacやCDC42の活性あるいは局在調節が関わっている可能性が分かってきた。また、ビネキシンの発現抑制によってHT1080細胞の浸潤能力が変化している可能性も考えられることから、これについても次年度以降検討する。
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Research Products
(5 results)