2006 Fiscal Year Annual Research Report
インテグリン裏打ち蛋白質とがん細胞の接着・運動制御
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17014045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木岡 紀幸 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90234179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 道憲 京都大学, 農学研究科, 助手 (00335308)
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Keywords | ビネキシン / 細胞接着 / 細胞骨格 / がん / 上皮間葉転換 |
Research Abstract |
「細胞接着」と「細胞運動」、およびそれらをコントロールする「細胞骨格」は、がん細胞の浸潤、転移に重要な役割を担っている。また、強い細胞間接着をもつ上皮細胞から、弱い一過的な細胞間接着しか持たず移動能の高い間葉系細胞への転換はがんの浸潤に関わっていると考えられている。申請者はこれまでインテグリン裏打ち蛋白質に着目し、そのひとつであるビネキシンの細胞骨格やシグナル伝達制御における機能について解析してきた。ビネキシンが細胞-細胞外基質間接着領域だけでなく、細胞間接着領域にも局在していることに今回着目し、特に細胞間接着領域に局在するビネキシン結合タンパク質の機能について解析した。その結果、このビネキシン結合タンパク質の発現抑制はLLc-PK1細胞の細胞形態を上皮細胞様の敷石状の形態から、散在して生育ししかも細く伸びた繊維芽細胞状の形態に変換させることを見出した。さらに、ビネキシン結合タンパク質の発現抑制は、上皮細胞マーカーであるE-カドヘリンの発現を減少させ、βカテニンの細胞内局在を細胞間接着領域から細胞質全体へと変換させた。逆にこのタンパク質の発現抑制は間葉系細胞マーカーであるフィブロネクチンやビメンチンの発現を上昇させた。また、TGFβを用いてLLc-PK1細胞を上皮間葉転換させると、このタンパク質の発現は大きく減少した。このことからこのタンパク質は上皮間葉転換に関わっている可能性があると考えられた。いくつか調べたがん由来細胞株ではこのビネキシン結合タンパク質の発現は低く、がんの浸潤転移にこのタンパク質が関与している可能性も考えられる。次年度は上皮間葉転換を引き起こすメカニズムについて検討するとともに、がん組織の免疫染色によりこのタンパク質のがん化および浸潤への関与についても検討していく予定である。
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Research Products
(6 results)