2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014055
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高井 義美 Kobe University, 医学研究科, 教授 (60093514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
扇田 久和 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (50379236)
力武 良行 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (50419488)
富樫 英 神戸大学, 医学研究科, 助教 (90415240)
匂坂 敏朗 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80359843)
岡本 三紀 神戸大学, 大阪府立成人病センター・分子生物学部門, 研究員 (20332455)
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Keywords | 細胞増殖 / 細胞運動 / 細胞接着 / 細胞極性 / ネクチン / Nec1-5 / インテグリン / がん |
Research Abstract |
正常の上皮細胞ががん化すると、細胞の運動能は亢進し、無秩序に増殖を繰り返す。細胞間接着と極性形成機構も破綻する。細胞間接着の形成には私共が見出した新規接着分子ネクチンが、上皮細胞におけるアドヘレンスジャンクション(AJ)およびタイトジャンクション(TJ)の形成を制御し、細胞の極性形成においても極めて重要な役割を果たしている。また、ネクチン様分子(Necl)の一つであるNecl-5が、増殖因子受容体やインテグリンと共に細胞の運動・増殖を促進するが、逆に、細胞間接着形成後のNecl-5のダウンレギュレーションは細胞の運動・増殖の接触阻害における分子機構として重要である。本年度はこれらの知見をさらに発展させ、以下の点について明らかにした。 1.細胞の接着と極性の破綻とEMTの機構 AJとTJを欠損している線維芽細胞にネクチン、カドヘリン、JAM、クローディンといった接着分子を発現させてAJ構造とTJ構造を再構築することに成功した。この再構築にはネクチンが最も重要であり、ネクチンの消失あるいは機能不全は逆に、細胞の接着と極性の破綻につながると考えられる。また、Neclファミリーの一つであるNecl-2は上皮増殖因子受容体の一つであるErbB3に直接結合し、細胞内で受容体下流のPI3-キナーゼの活性化を負に制御することにより、がん細胞の細胞運動を抑制した。 2.細胞運動時の細胞極性の制御機構 運動している細胞は前後軸方向に極性を形成し、運動方向に先導端を形成する。この運動先導端にはNecl-5、インテグリン〈v[○!R]3や血小板由来増殖因子(PDGF)受容体が高度に集積し細胞運動を促進する。さらに詳細な検討により、運動先導端の効率的な形成には低分子量Gタンパク質Rap1、Rac、RhoAおよびこれらの活性化を制御する分子の局所的・周期的な活性制御が重要であることを明らかにした。
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