2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮坂 昌之 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50064613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 稔之 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30217054)
早坂 晴子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70379246)
平田 多佳子 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教授 (00346199)
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Keywords | 癌 / 転移 / 糖鎖 / 細胞外基質 / 免疫学 / 接着分子 / ケモカイン |
Research Abstract |
細胞外基質(ECM)の分解により生じる低分子量GAGは癌細胞の運動熊を著しく亢進させるが、われわれは膵癌細胞株がヒアルロニダーゼのようなECM分解酵素を産生して低分子量ヒアルロン酸を癌細胞自身の周囲に作り、細胞膜上のCD44を介してそのシグナルを受け取り、CD44分子の細胞外切断、癌細胞の運動性亢進をもたらすというオートクライン的浸潤促進機構をもつことを明らかにした(J.Biol.Chem.281:5861.2006)。また、低分子量コンドロイチン硫酸Eも同様の運動能亢進作用をもつことを明らかにした(投稿準備中)。この現象とepithelial mesenchymal transition(EMT)の関連につき検討予定であったが、残念ながら使用した膵癌細胞株MIAPaCa-2のE-cadherin発現がきわめて低く、検討ができなかった。次に、癌間質におけるケモカインの作用機序の検討を行い、ケモカインと種々のECM構成成分との相互作用をBIACoreやELISAで解析した。その結果、これまでに報告したコンドロイチン硫酸Eの他に、collagen type IV, fibronectin, mac25/angiomodulinなどのECM構成成分も一定の選択性をもって特定のケモカインを結合し、固相化されたケモカインは可溶性のものを取り除いた後でも細胞遊走を誘導する能力を有することが明らかになった。これらのケモカイン提示能力をもつECM構成成分は上記のコンドロイチン硫酸Eとともに、免疫細胞移動が盛んなリンパ節の特殊な血管周囲の基底層に濃縮して発現し、さらにこの部位には特定のケモカインが濃縮しで発現していることから、ケモカインの保持、提示に働く可能性が考えられる。癌細胞の血行性転移あるいはリンパ行性転移に関与する可能性が考えられる。
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Research Products
(7 results)