2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮坂 昌之 Osaka University, 医学系研究科, 教授 (50064613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早坂 晴子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70379246)
梅本 英司 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90452440)
張 明浩 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (70420453)
白 忠彬 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任研究員(常勤) (10512840)
VERJAN GARCIA Noel 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任研究員(常勤) (90533216)
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Keywords | 癌 / 生体分子 / 糖鎖 / バイオテクノロジー / 免疫学 |
Research Abstract |
がん幹細胞の転移能について解析するために、SP (side population)細胞集団について、大腸がん細胞株LoVoと7つの悪性中皮腫細胞株を用いて解析を行った。その結果、SP細胞分画には造腫瘍能の高いがん幹細胞様の細胞が含まれているとされるものの、今回調べた細胞株のいずれにおいてもSP細胞分画にはそのような細胞は認められなかった。また、がん幹細胞マーカーとされるCD133, CD44についてもその発現とがん幹細胞様性質の発現の間には相関関係は認められなかった。ただし、LoVoにおいては、ケモカイン受容体の一つCXCR4の発現と浸潤性の間に相関関係が認められたが、転移能とは比例しなかった。一方、悪性中皮腫細胞株においてケモカインレセプター発現を網羅的に解析したところ、CCR10のみ蛋白質発現が高く、この傾向は非悪性中皮細胞株では見られなかった。これに呼応して、悪性中皮腫細胞ではCCR10リガンドであるCCL27の存在下にマトリゲルへの浸潤性が有意に亢進したが、非悪性中皮細胞では浸潤性変化は認められなかった。このことから、悪性中皮腫細胞をヌードマウスに移植し、in vivoでの原発巣、転移巣でのCCR10、CCR10リガンドの発現について検討したところ、予備的ではあるが、転移リンパ節被膜下にCCR10陽性の悪性中皮腫細胞の浸潤が認められた。次に、われわれはCCR7とCXCR4という二つの異なるケモカインレセプターの間にクロストーク現象が認められ、CCR7を介した刺激がCXCR4依存性現象を亢進させることが明らかにしている。また、がん細胞のリンパ節転移がCCR7依存性である報告が多いことから、CCR7, CXCR4の両者を発現するがん細胞のリンパ行性転移について解析を行った。その結果、転移リンパ節ではCXCR4陽性がん細胞の周囲にはCXCR4リガンドであるCXCL12陽性細胞の浸潤が多く、予備的ではあるが、CCR7リガンド欠損マウスではこの傾向が少ないことが明らかになった。がん細胞の転移において複数のケモカインレセプターが協調的に働く可能性が示唆される。
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Research Products
(16 results)