2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
目加田 英輔 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (20135742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 亮 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (10213323)
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Keywords | HB-EGF / 3次元増殖 / sHRNA / CRM197 / 癌間質 |
Research Abstract |
膜結合型増殖因子HB-EGFは癌細胞の増殖過程で重要な役割を果たしていることが明らかになってきたが、未だその作用機構については不明の点が多い。本研究では、HB-EGFの膜型から分泌型への転換の分子機構とその破綻による細胞の異常増殖機構を詳しく解析すると同時に、この異常が原因で過剰な増殖能を獲得しているがん細胞を明らかにし、その成果をもとに新しいがん治療法の開発を目的としている。本年度は、1)HB-EGFと関連して3次元環境下での細胞増殖に関わる分子の同定、2)がん組織間質で発現するHB-EGFの解析とその病理的意義、について研究を進めた。まず1)の研究テーマに関して、shRNAライブラリーシステムを用いて、EGFファミリー増殖因子と関連して3次元環境下での細胞増殖をポジティブ(もしくはネガティブ)に作用する分子群の同定を行った。その結果2次元増殖にはほとんど影響を与えないが、3次元増殖には必要な候補遺伝子9種類をスクリーニングし、さらにそれらを個別に検討し現在6種類に絞ってさらなる解析を行っている。これらの中にはMAPKカスケードの下流に位置すると考えられる遺伝子も含まれるが、その機能が全く予想できない遺伝子も含まれていたので、その遺伝子の役割を明らかにすべくさらに研究を続行中である。2)の研究テーマはに関しては、ヒトHB-EGFの作用は中和できるがマウスHB-EGFの作用は抑制できないHB-EGF阻害剤CRM197の特性を活かし、ヒト型HB-EGFノックインマウスにマウス由来がん細胞を移植する実験系を構築することで、がん組織間質で発現するHB-EGFの病理的意義を検討した。その結果、間質で発現するHB-EGFが腫瘍増殖促進に働いていること、間質で発現するHB-EGFも癌治療の標的となることを動物実験で証明することができた。
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